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スキャナー・ダークリー (ハヤカワ文庫SF)

価格: ¥1,145
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
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自我崩壊の切なさ ★★★★★
スキャナー・ダークリー [DVD]麻薬の潜入捜査官が麻薬常習者としての自分を監視するよう上司に言い渡された。
麻薬によって壊れていく周りと自分。
やがて潜入捜査官である自分と常習者である自分が同一人物だという認識が薄れていく・・・
麻薬汚染の恐ろしさを、経験者である著者自身が書いたからこそのドロドロしたリアル感。

本や映画に影響されやすい私は、まるで自分が麻薬常習者になったような気分を垣間見た気がしました。
一瞬の快楽で一生を無駄にしてしまうということが嫌でもわかる作品です。
一種の幻覚的な作品としても楽しめますよ。
「敵はけっして許されない」 ★★★★☆
PTAのお偉方が読むと「けしからん!」とわめき散らすであろうドラッグノヴェル。
だが…よく読んで欲しい。この作者、フィリップ・キンドレッド・ディックはドラッグに対して、この上ない憎悪を抱いていることがわかるから。
山形浩生氏曰く「ディックの最高傑作」だそうだ。私自身はやや賛同しかねるけれども(マイ・ベスト・ディックは「黄昏の朝食」です)、この情け容赦のない小説(あえてSFとは呼ばない)の中身はヘビーだ。
「自分の行いのために信じられぬほどの罰を受けてしまった俺たちのために書かれた本」とは、当のディックの作者あとがき。私は何度このノヴェルに戦慄しただろうか。いくらドラッグを楽しみたかった、それこそ「興味本位」程度のヤク体験により、破滅に陥ってしまう愚かな人間の生き様がこれでもかと描かれている。
なお、山形氏が指摘していることだが、本書の原題はA Scanner Darklyであり「the」ではないことに注意。要するに、この小説の描写はべつに俺たちだけの悲惨の物語じゃない、アメリカ近未来、いつでも起こりうることだ、ということ。それは(残念ながら)現実のものとなってしまった。ドラッグによりこれまで、どれだけの犠牲が生じたか。ディックだって、「私の予言が当たった」などと喜ぶはずがなかろう。こんな現代社会は社会システムこそが生み出した、とこのノヴェルでディックは訴えているが、なに、政治がからんでいようがいまいが、誰にでも起こりうる災厄を描いたガジェットなのだ。現実は、別に社会システムとは因果関係にないのだ。
「ニックとグリマング」の訳者さんは「反麻薬小説」として本書を推薦なさっていた。さすがわかっていらっしゃる。PTAの言うことなんか信じるな。真実(現実?)はそんなに単純じゃない。だれこれを打ち負かせば全てが解決する、なんてことはありえない、という当たり前のことも、ディックは知っていたに違いない。
なお、山形氏による翻訳も、この浅倉先生による翻訳本、どちらも優れたものである。山形氏の実力を知りたいかたは古本屋か図書館へ。
3度読めば何かわかるかも ★★★☆☆
難しい。 近未来SF麻薬廃人小説。
30年前に描かれた著者の世界観は、
一部は現実となり、残りは未だ夢物語だ。

読後は、遊園地のコーヒーカップに乗って
ハンドルを思いっきり回した後のような、
そんな目まいさえ覚えてしまう。

囮の麻薬捜査官が麻薬によって壊れていく、
そんな三文小説にもあるようなストーリーは、
著者の繰り出す小道具のひとつでしかない。
自分と他人の区別と境界が溶けて曖昧になり、
深い渦に吸い込まれるが如く落ちてゆく。

爽やかでもないし、ハッピーエンドもない。
断片的な記憶が、今にも崩れ落ちそうな記憶が、
危なっかしく組み立てられて綴られていく。
あぁ、後でもう一度、読み直してみよう。
面白いが、超難解。 ★★★★★
ディックの作品のなかでも、特に難しい作品だな。俺は、一読目サッパリわからなくてもう一度読み返した。それでも、完全に理解できたとは思えない。やっと一部理解出来たくらいだが、そのおかげで何となくだが面白さがわかったような気がする。主人公が、だんだん麻薬中毒になって壊れてく所は、妙に幻想的に表現されてる。何となく、美しさまで感じる。まさか映画になるとは思わなかったが。ほとんど表現するには不可能な感じがしたから・・・。で、一応映画の方も観たが、何だかわけの判らないすごい状態になってるな。CG?と実写の合成?なのかな、どうも非常に不愉快な不安定な表現の方式だとしかおもえない。観てると、イライラしてくる。それに、原作を知らない人が映画を先にみたら、「なんだコリャ?」ってなるなと思う。この作品に関しては、絶対に原作を先に読んでおかないと理解不能に陥る。最悪の場合、途中退場か居眠りだ。だから、もしDVDビデオ買うつもりなら一度は読んどいた方がいい。少しは理解出来るかもしれないから。それでも、原作にはかなわないが。
一時の楽しみとしての麻薬の罰 ★★★★☆
この本は、1977年の作品(書かれたのは73年)なのですが、少しも古さを感じません。

主人公ボブ・アークターは、麻薬のおとり捜査官で、その時はフレッドという名前を使っています。そして、壊れてしまってニュー・パスの施設に入居すると、ブルースという名前で呼ばれています。このあたりの名前と人物の性格描写の使い分けが見事で、主人公の徐々に壊れてゆく様子が見事に表現されています。
途中では、仲間同士の間で、おとり捜査官、密告者といった疑心暗鬼な部分も出てきて、しょっとミステリー色も楽しめます。
いずれにしても、一時の楽しみとしての麻薬は、大きな罰を伴うものだということが、切実なタッチで描かれていて面白い作品でした。

この間、映画の予告編を見ましたが、キアヌ・リーブス、ウィノナ・ライダーなどの出演の実写をアニメ処理したものでした。それが、この作品のイメージをより高めているように思いました。機会があれば、映画も是非見たいと思います。