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メルロ=ポンティ―哲学者は詩人でありうるか? (シリーズ・哲学のエッセンス)

価格: ¥9,885
カテゴリ: 単行本
ブランド: 日本放送出版協会
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美しい! が、何が得られたのか? ★★★★☆
哲学は散文で書かれるものと我々は思い込んでいるが、クセノパネスやパルメニデスなど、哲学はその始原において詩によって表現された。本書は、20世紀の哲学者メルロ=ポンティを、「哲学者は詩人でありうるか」という興味深い切り口によって捉え返す。メルロ=ポンティは、「科学はものを操作するが、ものに棲みつかない」「哲学は、客観的世界の手前で生きられている世界へと立ち返る」「私は知覚によって、世界の厚みの中に入り込む」「私の身体は世界と同じ肉でできている」等々といった、そのユニークな表現によって、我々の「生きられる世界」を、その「生まれ出ようとする秩序」において捉えようとした。彼は、「詩人の辛苦をあらためて引き受けようとした」(p107)哲学者なのである。

本書は、『知覚の現象学』を中心にメルロ=ポンティ哲学の魅力を分りやすく提示するのに成功している。とりわけ第3章の叙述は生彩に富む。だが、読了して思うのだが、こうした「生きられる世界」の光彩陸離たる詩的記述は実に美しいが、それによって我々は何を得たのかが、どうもはっきりしない。例えばアリストテレスやロックは、詩とは無縁の文体だが、何か「大陸を打ち立てる」ような凄みがある。メルロ=ポンティにも、その表現力とはまた別に、哲学の難問と格闘するテツガクテツガクした部分があるはずだが、本書はそのテツガクテツガクした部分にあまり触れていない。その点が、やや物足りない。