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終生ヒトのオスは飼わず

価格: ¥1
カテゴリ: 単行本
ブランド: 文藝春秋
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人の雄も飼ってほしかったかも ★★★★★
とてもわかりやすい文章。
猫などの動物に対する心。

人であっても、動物であっても、同じようにやさしさが向けられる。
本当は、人間に向けられるとよかった思い。

もし、米原万里さんが、人間の雄を飼っていたらよかったのにと残念に思いました。

あるホテルの文庫コーナに常備してありました。
面白くて一晩で読めました。
表紙の笑顔がすてきです ★★★★☆
本書では限りなくペットに愛着を持つ著者の軽妙な描写で生き生きとした生活が語られています。途中から話の傾向が変わりますが、最後にはちゃんとその後のことがまとめられていて消化不良を起こさずに済みました。
著者が亡くなってずいぶんたつものですね。ゲンが行方不明になり、無理も死んでしまいました。50歳を過ぎてから、世の中が変わっていくのではなく終わっていくシーンによく遭遇するようになったと感じています。ご自身で書かれたご自身の死亡記事には著者特有のギャグを感じながらいたたまれない気持ちで読みました。
人間、米原万里 ★★★★★
 やっと出た文庫版。亡くなってもうそんなに経つのか…と寂しく思った。

 米原氏には、いくつもの顔がある。
 小説家としての顔、ロシア語通訳者としての顔、一冊だけ出した翻訳者としての顔、
そして無類の動物好きであるとともに、国際政治に憤るエッセイストの顔。世に出ていない彼女の素顔は、無限に。
それら全てを合わせて、一人の人間、米原万里ができている。

 米原氏の動物エッセイには眉を顰める人もあろう。限界を超えても死にゆく動物たちを救おうとする彼女に、
「一歩間違えれば近所迷惑」「実験動物を憐れむなら医療を享受するな」という反応は予想できる。それでも。
彼女は信念を持って生きた。それは、とても素晴らしいことだと思う。

 こんな洒落たタイトルを、本人亡きあと誰が付けたのだろうと思っていたら、ご本人だった。
『私の死亡記事』という特集だったらしい。享年75歳、という一文に、本当にそこまで生きていて下さったら、と思う。
架空の最後の言葉も、死因に無関係な食い意地の張ったもので、彼女の懐の深さと言うか、ユーモアに思わず微笑む。
そして、ああ本当に米原氏の新刊が望めなくなって、私の本棚にこれ以上彼女の名前は増えないのだな…と悲しくなる。

 完璧な人間はいないし、そもそも個人によって完璧の定義も違う。そして完璧目指して努力するか、完璧を好むかどうかも。
理想の政治体制が未だに確立しないのだって、それに起因しているようにも思う。あらゆる理想と現実の齟齬も。
米原氏は完璧ではなかった。でも、とても愛らしく、理知的なのに情に脆い、素敵な女性だった。

 米原氏亡きあと、あの毛深い共同生活者たちがどうしたか気になっていたので、それが読めてよかった。
やはり、死にゆく者は生きている者の先輩だ。たとえ若くとも、たとえ人間でなくとも。

 父親の生き方が彼女の人格形成に深く影響したように、親から子供に伝わるのは遺伝子だけではない。
ぜひ、彼女の「毛深くない」子供も見てみたかった。彼女の子育てを読みたかった。
愛する家族との幸せな日々 ★★★★☆
犬、猫をこよなく愛した米原さんが、彼らと一緒で「ヒトのオス」は飼わなくても本当に幸せだったのだとこちらも幸せになるような一冊です。
前作「ヒトのオスは飼わないの?」の方が個人的には好きですが、あの本で取り上げられていた家族たちのその後の様子、そして家族たちとの別れや出会いなど、動物を好きな人は勿論そうでない人でも十分楽しめる一冊です。
プロ中のプロだと思った米原さんが家族のために仕事をキャンセルしたエピソードなど、彼女の性格が垣間見れるところも多々あります。
又、第二部では、家族の事を語り、世の中のことをバッサバッサと切り捨てています。
素封家の祖父や、政治に没頭した父、そして後期高齢者の年齢で留学した母のエピソードも非常に興味深いものでした。
本の中で取り上げられていた元同級生の演出家って誰かって調べちゃいました。このエピソードではあの俳優さん形無しですが、米原さんの同級生だと知って、「おおっ」って思ってしまいました。
ああ、これで未読の米原さん作品がまた一冊なくなってしまった・・・

最後まで読みたかった ★★★★☆
中途半端で終わってしまったのが、残念、32回にわたって雑誌に掲載されたエッセイの最初の10回分だけ収録されています。 のこりの22回分は米原さんが少し手を入れたかったとの事だけど、是非、「発明マニア」みたいに、全部そのままの形で残して欲しい作品です。

妹さんが編集に関わった「発明マニア」と秘書さんが編集に関わった本作品の温度差の違いが残念に思えます。

米原さんの動物エッセイは素晴らしい。