見ているような
★★★★★
裁判は、まさにその場で傍聴しているように詳細に書かれていてすごい。また一般に上の地位にあるものほど高い人格と倫理感がもとめられる、というが、白い巨塔で医学部長が悪いほうに味方してしまうので、驚愕した。医学部長なら、やはり民衆の味方であってほしい。
「続・白い巨塔」のスタートです
★★★★☆
第4巻以降は、第3巻までが「白い巨塔」として、先に出版されたのですが、そのクライマックスの衝撃から、「続・白い巨塔」として刊行されたものを、「白い巨塔」として文庫化した作品です。
さて、この巻では、医術の腕はともかく、金・名誉・権力を重んじる主人公の財前が、学術会議戦に出る所からスタートします。従って、第1巻同様、医術を軽んじ、名誉・権力を重視する医学会の面々の生き方に、憤然とし、気持ちよく読み進めることはできません。ただ、後半からは、再び、財前の手術をめぐる医事裁判に、主軸が移りますので、どちらの陣営が勝つのか、ドキドキしながら、読むことができます。
第5巻へのクライマックスの前哨戦というべき1巻です。
医事論争
★★★★★
第三巻までで、一審財前勝訴の結果が、読者からの反響が大きすぎたために、続編として、第四巻、第五巻を認めたという。第四巻は、これまでのテンポの良さからすると、やや冗漫だが、医事裁判の各陣営の論争は、読みごたえがある。
医者とは
★★★★★
この本を知ったのはドラマを見たのがきっかけです。
簡単に内容を説明すれば、ある一人の医者が高い地位につくために
あらゆる財力や人脈をくしして、のぼりつめてく波乱の人生をえがいた作品です。
この作品は医学界の醜い世界がとても浮き彫りになっているために
世間では賛否両論がたえません。
しかし、自分は作品に斬新さが感じられ
新しい関心が得られました。
特に興味を持ったのは、主人公の性格です。
高い地位を得るためにかなりの非道な手段をとるのですが
それでも病弱な母親をいたわる一面を持っています。
そのギャップがとても印象深かったです。
医者の方、またはこれから医者を目指す人は是非読んで貰いたい作品です。
「なんて奴」と思うのだが
★★★★★
心が無い人間は、名誉や財産があったとしても人間の尊厳が無く、嘘を重ねる人間は嘘に嘘を重ね、自分が正しいと主張し、それをたしなめられると開き直り、大きい声を出し人を威圧する・・・
そんな人物描写が法廷のシーンで想像させられた。
「財前教授みたいに人に驕ったり、下のものを卑下したり、上司に媚へつらったりしたくない。結局は罰が当たったんだ。」と結論付けてみるものの、この人の冷徹さの後ろにある虚無感というか孤独感が読者を魅了するのかもしれない。