ホワッツ・ニュー
価格: ¥1,995
ビル・エヴァンスのアルバムは、圧倒的にピアノトリオによるものが多い。エヴァンス自身が一番好んでいたためだが、さまざまなミュージシャンと共演した名盤がいくつか残されている。ジャズハーモニカの巨匠トゥーツ・シールマンスとの『アフィニティ』、ジャズギターの巧手ジム・ホールとの『アンダーカレント』、そしてジャズフルートの異才ジェレミー・スタイグとの本盤が、その代表作といえるだろう。
バックを支えるのは、73年の初来日メンバーだったエディ・ゴメス(ベース)とマーティ・モレル(ドラムス)。セロニア・モンクス作曲の<1>では、ブルース色たっぷりのフルートから入り、エヴァンスのピアノがそれにからみつく。躍動感あるリズムに緊張感が漂い、インタープレイの精神が充満している。
エヴァンスのオリジナル<5>は、このアルバムでしか聞けない1曲である。スタイグの微妙な舌先のテクニックや、独特な息づかいが満喫できる。(新井由己)