仕事は簡単ではなかった。デクーチは長年にわたり悪事を重ねてきているし、銃の扱いにも慣れている。彼はすでにロレッタ・リッチを射殺しており、その死体はデクーチの小屋でミミズのエサになっていた。ステファニーをミミズに進呈することくらい、彼にはどうってことないのだ。
愛すべき人生の落後者(そして高校の同級生)ウォルター・“ムーンマン”・ダンフィーとドジー・“ザ・ディーラー”・クルパーは、不注意にもデクーチとかかわり合いをもってしまっていた。彼らはたばこの密輸という簡単な仕事だけでなく、かなりの危険を伴うヤバい仕事にまではまってしまって抜けられなくなっていた。
ドジーが消息を絶っても、ステファニーは捜索を続けた。しかし、ムーンマンが消息を絶つと、さすがにショックを受け、同僚のバウンティハンターのレンジャーに助けを求めた。レンジャーの見返り? それは、ステファニーと一夜を過ごすこと。もちろんこれは、たまに泊まりに来る刑事、ジョー・モレリにはないしょである。でもこれは、ステファニー・プラムにとっては別に普通のこと。
一方、実家では、ステファニーの非の打ちどころのない姉、バレリーが、トレントンに戻ることを決意。しかも、やんちゃで手のつけられない2人の子どもたちを連れて。マズールおばあさんは「レスビアンであるというのはどういうものなのか?」という質問を繰り返し、大食い犬のボブは目に見えるものはすべて、家具であっても食べてしまう。
泥レス、バイク、暴走、ファーストフード、手の早い男たち。それが『Seven Up』。ジャネット・イヴァノヴィッチの最高作であることは疑う余地もない。