シンジのサルベージから加持の死まで
★★★★☆
を扱っているのが8巻。
ますますストーリーは混乱の度を深めてくる。
テレビ版と比べて、母ユイの回想ないしイメージシーンが非常に多く、ここで読者にはレイとユイとの浅からぬ縁に気づかされてしまう。
多くのレビュアーが言及されているように、加持の絶命のシーンも印象的だ。
冬月先生……か
★★★★★
……1999年 京都……
全てはここから始まった。
傷害事件を起こし、警察に留置された六分儀ゲンドウが、身元引受人に京都大学教授・冬月コウゾウを指名したとき、時計の針は動いた。
碇ユイ・光の巨人・ゼーレ・ゲヒルン・スーパーコンピューターMAGIの開発と赤木ナオコ博士の謎の死とともに、特務機関NERVは誕生した……。
ここで浮上するのが、ゲンドウがユイのバックにある組織(ゼーレ)と財産を狙ってユイに近づいたと冬月が言っているが、これが嘘か真か。今はさほど問題ではないが、冬月の言葉が真実だとするならば、莫大な財産と強力な組織が目的でユイに近づき、まんまと結婚したゲンドウは相当出世欲の強い人間であるが、さて……。
また、冬月がゲヒルンに入った本当の理由は、ゲンドウにアダム再生計画(通称E計画)を一緒に遂行し、新しい歴史をつくらないかと誘われ、冬月自身もそれに大きな関心を抱いたからである。が、他に考えられる理由としては、ユイの選んだ男はどんなやつなのか解明するためにも、ユイと会うチャンスを確保する為にも、ゲヒルンに入ったのではないか、と私は考えているが、皆さんはどうでしょうか?
一気に読まされる。
★★★★★
TV版、映画版ともにリアルタイムでは、まったく興味なく、
数年後にまとめてDVDで観たら「面白い!」と思った。
単なるロボットアニメかと思っていた無知なワタシを
ノックダウンした、前半の斬新なストーリーと
ちょっとついていけなくなった後半の掘り下げ方。
映画版の最終話は、うーーーむ。どう理解すればいいのか。
…と思っていたら、コミック版が出てきた。
アニメであれだけ話題になっていまさらコミックなんて。
…と思っていたら大間違いでした。
TV版ではホントに優柔不断なダメ男のシンジがコミック版では
ちゃんと骨肉しっかり付いている。…という感じ。
レイちゃんも、人間味がある、コミック版の方が好き。
なんといっても、アニメにひけをとらない画力に圧倒されます。
ストーリーがわかっているのにこんなに面白いなんて脱帽。
また違うラストが用意されているのでしょうか。
期待。
アニメで描かれなかったシーンをあえて入れることの意義
★★★★★
僕がこの8巻で注目したいのは、アニメ版ではっきり描かれなかった加持の最期のシーンをはっきりと描いているところです。
アニメ版では銃声音とともに画面がブラックアウトして終わりと、ニュアンス的な表現にとどまり、彼がほんとに死んだかどうかはっきりしない感じがありました。
ところがこちらでは撃たれた後の、彼が倒れて血を流しながら死んでゆくさまをはっきりと描いています。
つまり、アニメ版ではっきりさせてなかったシーンを貞本さんははっきりと焦点を当てて描くことでアニメ以上に解釈のしやすい内容に仕上げているのです。こうした姿勢は、レイの心理描写を丁寧に描いているところなどにも現れています。
このようにして、コミック版とアニメ版との差別化を図り、エヴァンゲリオンという作品をより取っ付きやすい作品に仕上げてあるところは非常に評価できる所だと思います。
現に、この後の9巻、10巻がアニメ版と細かい点で大きく展開を変えており(9巻でもうカヲルが登場するし)、アニメ版や劇場版と違ったラストを予感させる流れへとなっています。
これから貞本エヴァの展開がどうなるかが非常に楽しみです。
サルベージ計画
★★★★☆
エヴァ体内へとり込まれたシンジのサルベージ計画が始まった。
しかし、そのサルベージも失敗に終わる。
号泣するミサト。
そんな中シンジはかすかに残る意識の中で実母に出会う。
そして自分の役目を全てを終えた加持は―――。