老いで失ったのは能力ではない。失ったのは勇気や尊厳です。
★★★★★
9巻〜11巻は、人間の尊厳について。人間はミジンコやゴキブリと同じじゃない。生きているだけでは人間ではない。尊厳や矜持(誇り・プライド)があって、初めて人間。尊厳についてもっと深く考えたい人には「リアル(井上 雄彦)」も読んでもらいたいです。
長い間虐げられてきた人間は能力と一緒に尊厳や勇気を失う。黒沢によって勝利のチャンスは完全にお膳立てされたにもかかわらず、まだ逃げることを選択しようとする。
黒沢は一人のおばあさんを助けようとみんなを説得する。「女性を救えなかった」と後悔しないために戦おう。男なら勇者になろう。物語を作ろうと。こうして、なんとか戦うことにはなるが..
若者達の自分勝手な論理。暇つぶしの遊びで他人を傷つけるくせに、まるで自分達が正しいことをするような論理を作る。自分の行為の正否を他人の欠点の話にすりかえる。悪だからやっつけていいと。なんとも厳しい現実。無知ゆえの残虐さ。