高橋メインの巻は良い
★★★★★
何か高橋に同情してしまいます。最初は嫌な奴で事故にあった時は「バチが当たったんじゃないか」とか思ってたんですが、この巻を読むと可哀想だなと思ってしまいます。特に病室で隣の親子の会話を聞いて「何で俺なんだ・・・?」と呟くシーンは泣けます。やっぱり三人の中では高橋の気持ちが一番共感出来ますね。今後の展開を楽しみにしてます。
事故は脚だけでなく人間の尊厳を奪う(高橋編)。
★★★★★
3巻では、事故後の高橋を描く。
事故は脚だけでなく人間の尊厳を奪う。卑屈になる。同情を嫌がりながらどこかで同情を期待する。でも同情されたら拒否する。自分を嫌いになる高橋。卑屈になる自分が嫌いとかいうんじゃなくて脚が動かない自分が嫌(いや)って、どこまで性格が悪いのか、この男は。他人を見下して自己の尊厳を保ってきた高橋。見下す人がいなくなって尊厳が保てない。尊厳がなければ人は生きていけない。
健常者の中には、安易に障害者を羨ましがる人間がいる。「同情してやってるのになんだその態度は。もっと有り難がれよ」という奴もいる。それはまさに事故前の高橋。高橋は過去の自分から洗礼を受ける。
もっとひどいのは見てみぬフリ。関わり合いは御免被りたい。障害者に対等に接すれば世間は冷たい奴と批判する。どんなひどいことをされても障害者を殴るなんてことは論外。世間は、障害者には優しくするのが当たり前という。「弱い人」に同情していたわってさしあげろって。大半の人は関わると損だから見てみぬフリ。偽善の世の中。
高橋の気持ちは「絶望」から「自暴自棄」の段階へ。生きてても意味がない。自分を壊したい。高橋は、父親との面会後、自分の脚をガラス片で突き刺す。
高橋には家庭の問題もある。高橋のその後は5巻以降に続く。高橋の父親に対する想いは6巻で明らかになる。
スゴイ!
★★★★★
私は最近1〜5巻まとめて購入しスゴク重厚な内容に驚きました。
スラムダンクを去年の夏に読み終え、井上先生の作品をもっと読みたいと思い最初に触れたのが「リアル」でした。
しかし車椅子バスケの漫画というのは知っていましたがスラムダンクとは全く違う内容に、良い意味で裏切られた感じです。
ぜひこの作品を手にとって読んで欲しいです。きっと後悔はしません。
リアルを取り戻すために
★★★★☆
三巻は、リアルを喪失した高橋の話である。
リアルを喪失した人間は、自分の位置さえ分からなくなる。『今』自分はいるのか?『ここに』自分はいるのか?
わたしたちがあたりまえと思っていた自分の存在の認識は、じつは、非常にもろいものである。
わたしたちは、他人がいるから自分を認識できる。
結局、個人のリアルは「人」と「人」とのつながり上に成り立っているのである。
そして、高橋は、まわりの人間との係わり合いから、徐々に、リアル(現実)を取り戻していく。リアルを取り戻した高橋はどうなっていくのか。楽しみである。
高橋のリアル
★★★★★
交通事故で障害が残った高橋の苦悩を描く第3巻。自分の障害を受け入れられないでいる高橋。離れていく人、変わらずに接してくれる人、周りの変化、自分の変化に戸惑いながらも少しずつ前進していく。
そんなリアルな描写が考えさせられてしまう。誰でも障害者になりえる、その事実を忘れがちになるがリアルを読むと現実以上に考えさせられる。これから高橋がリハビリを続け、車イスバスケで活躍するのが楽しみだ。