全編を貫くテーマは、ジョン&ヨーコのコラボレーションすべてに共通するもの――自分たちのこと、そして相手のことだ。ちなみに本作のサブ・タイトルは「A Heart Play(ひとつになったハートの戯れ)」という。本作には、ごくまれにではあるが確かに感動的な部分がある。しかし、聴いていて気恥ずかしくなる部分の方がはるかに多い。バスの中でカップルの甘い会話を立ち聞きしているような気分になってしまうのだ。そう言えばジョン&ヨーコは、何事も知っておいて損はないと常に信じて疑わなかった。本作の最良の部分は、ジョンがめずらしく愛するヨーコの瞳から目を離し、別のものを見つめたときに現れる。とりわけ、活気に満ちた「Nobody Told Me」は素晴らしい。
今回のニュー・エディションにはボーナス・トラックが収録されている。まず、ジョン&ヨーコが自分たちに捧げた新たな3曲の賛歌。そして、ジョンの死の直前に録音された2人のインタビューだ。この中でジョンは、おめでたくもバカバカしいユートピア主義に入れ上げていることを繰り返し告白しているが、その思想に共感できるのは、何の不自由もない金持ち連中だけだろう。(Andrew Mueller, Amazon.co.uk)