表題作「ロストハウス」
人は、子供の時になぜ遊び場が必要なのか。いい遊び場を
もたぬ子供はどうなるか、そんな話として
も読めるし、また大人も縛られていないか、自分らしく
ある場所が必要なのでないか、という話とも読めました。
主人公の女の子は、過去に1つだけ心のよりどころがあって
1つじゃ難しいんだけど、でもそれが救いになるんですね。
同時収録「八月に生まれる子供」
若干18の少女に訪れる理不尽な出来事。しかも「幸福の幕開け」
だったはずの日に。ハッピーエンドではないと思う、けど
前向きな最後。「どんな大変なことが起こっても救いはある」
というのを見せられた気になりました。
他はユートピアを求めて、田舎で自給自足をはじめる
カップルの「青い固い渋い」
山林維持費用を稼ぐため上京してきた少女と、文通以外に他人と
交流を持たぬ大学生の話「クレージーガーデン」
が収録されています。この2点は、上記の2点に比べると
やや平凡に思えます。
つくづく不思議な漫画家だと思う。大島弓子って。