ピアノで弾くならこれ。でも運指がありません・・・
★★★★☆
この曲には2段チェンバロで弾くことを前提にした変奏があり、原典版をそのままピアノで弾くと難しい手の交差が起こって苦労します。この版は、そのような交差の起こる場面では左右の手に対する音符を再配置して弾きやすくした楽譜を原典譜と併置してあるのが最大のポイントです。左右の手への音符の振り分けを再考したい場合は、この楽譜を見ることをおすすめします。
あと難しいのが装飾音だと思いますが、この版は装飾音に対する解説が豊富で、複雑な場合はすかさず別に譜面が出てきて「こういう風に弾くとうまくハマります」というアドバイスが付きます。その他、フレージングやテンポなどの解説も非常に充実しているのです。
最後に、唯一かつ最大の欠点が運指です。なんとこの楽譜には運指がまったく書かれていません。そのため運指を見るためだけにウィーン原典版を購入しなければなりません。運指以外はほとんどパーフェクトな内容だけに惜しいです。