カフカの魔力
★★★★☆
致命的な理不尽な権力に翻弄され絶望感に苛まれた際に、浮き出てくる人間の深層の本性を、金魚網ですくったように詳細に描いた(取り出した)古典作品だと思います。
楽しい本ではないです。読んだ後、ため息がでます。カフカの魔力が込めれれた興味深い本です。
2番目にヒットするのは田代まさし氏の書いた『審判』である
★★★★★
Kについてはごく平凡なサラリーマンとしか説明のしようがない。なぜ裁判に巻き込まれることになったのか、
なんの裁判かも彼には全く訳が分からない。そして次第に彼はどうしようもない窮地に追い込まれていく。
これ即ち、コント55号のコントである。違うのは目的だけである。
ところで、『審判』で検索すると、2番目にヒットするのは田代まさし氏の書いた『審判』である。
これもまた不条理ということか。
象徴的作品
★★★★★
カフカは難しい、様々な解釈が可能....
カフカにはこのような評価がなされることが多いようである。
私は、カフカに対するこのような評価は、次のことを意味しているのだと勝手に考えている。
「自由にカフカを感じれば良い」
上記のような立場で本書を読んだのであるが、私にとって本書はカフカの世界を象徴していると言って良い。
自らの裁判(審判)の行方がどうなるかわからない、どう進行しているのかすらわからない「不安」、何ら適法な手続が採用されない「不合理」、全体主義が垣間見える社会の「恐怖」、そして結末が象徴する「不条理」。
本書に対する研究者の評価、評釈を先に読んで構えることなく本書を読み、自由にカフカの世界を感じることを強く奨める。もしカフカを好きになって、彼の作品を読み進めることになったら、私同様、本書が彼の世界を象徴していると感じるのかもしれない。
最後に一言申し添えると、上述も私の勝手な評釈であるため、影響されずに自由にカフカをお読みください。
すごい
★★★★★
とにかくすごい作品。
読んでも読んでも底の見えない世界観に圧倒されます。
社会システムや法に対する批判や恐怖、そういうことがテーマになっている
と思うのですが、それをこういう表現方法で展開できる人はカフカ以外には
いないでしょう。
もちろん、カフカ以降でその模倣をする人はいますが・・・
これだけ現実世界から乖離した突飛な話であるにも拘らず失われる事のない
リアリティと説得力はいったいなんなんでしょうか。
この作品が今から90年以上前に書かれたとはとても思えない。
天才の仕事だと思います。
読む人ごとに違うリアルさが感じられる
★★★★☆
1925年に書かれて以来、これまでに多くの人がそれこそその数だけの解釈をしてきたのではないだろうか。後に来るナチやファシズムを予見したとか。私個人は、主人公の経験に似た(もちろん程度は違うが)理不尽な経験を思い出したりして、リアルな感覚も感じた。そんな体験は誰にでもあるだろう。読む人はその感覚を思い出し、主人公に重ねてこの物語を見るのだろう。そういう構成がカフカのすごさなのだろう。