谷口さんの訳がよい
★★★★★
谷口由美子さんの訳がいいっ。
福音館シリーズの恩地さんの訳に近くて、続けて読んでも違和感がないです。
それもそのはず、谷口由美子さんの著書、「大草原のローラに会いに」を読んでわかったのですが、谷口さんは恩地さんにご指導を受けたことがあったんですね。
本当にすばらしい訳だと思います。
たった一つ残念なのは、福音館版みたく、原書と同じ大きさでカラー背表紙の豪華な本で出して欲しかったということかな。
ローラは大人に近づいてきてるけど、まだまだ少女。小学生の時に読んだ時、「長い冬」までは素直に面白いと感じることができました。というのは、このシリーズの魅力である料理のシーンや、自然の脅威、そして自給自足の描写が、この作品まではふんだんに出てくるんですよね。次の「大草原の小さな町」からは、自給自足の描写は一気に少なくなってしまいます。その辺が子どもには物足りなくなっていってしまうのです・・・。
ちなみに下書きの段階では、エドワーズさんのエピソードがもう一つ入っていたそうですよ。エドワーズさんが、ポーカー賭博でずるい手を使って大金をせしめる話だったので、子どもへの配慮からカットされたらしいです。
美しい日本語訳に生まれ変わって嬉しいです
★★★★★
ローラの物語が子供の頃から好きでした。
ローラの青春時代を描いた岩波文庫のこのシリーズは、
昔の鈴木氏の日本語訳が古くさく言葉使いが乱暴なのが不満でしたが、
この谷口氏の新訳版では美しい日本語に直されており、大変読みやすかった。
ローラの少女時代を描いた福音館の恩地氏の翻訳した大草原シリーズから
読み進むのにも、言葉使いの違いが目立ち過ぎず、大変スムーズ。
ガース・ウィリアムズの挿絵を使っているのも高ポイント。
ローラの物語はやはりこの挿絵でなければ!
開拓者魂
★★★★★
子供の頃から大好きです。
お話の全般は、とても辛い極寒の冬をひたすら耐えながら生き抜いていく、という
決して明るいお話ではありませんが、町の皆で力を合わせながら、
また、とうさん・かあさんの知恵と工夫で、家族みんなで協力しながら生活していく
姿に心を打たれます。
チャールズ(とうさん)の賢さ・強さって素晴らしい!といつ読んでも思います。
本当に長い冬
★★★★☆
少女期編から少し後の青春期に入ったローラ物語の
一作目です。
ローラは日に日に大きくなり、とうさんのお手伝いも
できるようになってきました。
やがて天候が妖しくなり、秋にも関わらず雪が降り出します。
ローラ一家は町へと移り住みます。
吹雪がだんだん厳しくなり、学校へも行けず、食べ物も少なく
なり辛い日々が続きます。
これだけだとしたら、物語は非常に単調で暗い雰囲気になった
でしょうが、随所に後にローラの夫となるアルマンゾのお話が
入っているので、それぞれの厳しい冬の過ごし方がわかります。
そしてアルマンゾのしっかりとした考え方がとても好きです。
ローラ早くアルマンゾに出会えないかしら?
いちばんシリアスな物語
★★★★★
こどもの頃に読んだ鈴木哲子氏の訳は「父ちゃん」「母ちゃん」という訳語や「母ちゃんの語り口を農村らしくした」というのが変な日本語で気に入らず、訳がもっと良ければいいのにと思っていました。そもそもローラのお母さんは東部出身の人ですから訛りの強い言葉は使っていなかったはずです。谷口氏の新訳は言葉がきれいで読みやすいです。
連作の中では少し異色な、しかし最もシリアスな物語です。物資がどんどん乏しくなっていく中、一家みんなで不平も贅沢も言わずに精一杯の手作りのクリスマスを祝うところがとても素敵です。