1966年に出版されて以来、多くの「はたらくくるま」好きな子どもたちに愛されてきたロングセラー絵本。「くまくん」シリーズなどで知られる渡辺茂男と、乗り物絵本の第一人者である山本忠敬が手を組んだ一冊で、全国学校図書館協議会選定「必読図書」に選ばれるなど評価も高い。このコンビによる乗り物絵本として、ほかに『とらっくとらっくとらっく』がある。
消防署のすみっこに、古いジープを改良した、ちびっこ消防車のじぷたがいた。けれども、だあれも、じぷたのことなんか気にかけない。じぷたは、はしご車ののっぽ君と、高圧車のばんぷ君、救急車のいちもくさんが大きな火事で大活躍するのをうらやましく思うばかり。しかし、じぷたにも山小屋の火事を消し止めて、山火事を防ぐという大仕事がやってきた。
だれにでも得手不得手はあるもの。普段は目立たなくとも、いざとなれば、せまく険しい山道を平気で登り、見事火事を消し止めるじぷたに、自分を重ねる子どもたちも多いのではないだろうか。(小山由絵)
子どもの自尊心を成長させるお話と、迫力のある絵がすばらしい!
★★★★★
消防署のすみに置かれた「じぷた」には、どんな子も自分を重ね合わせてしまうと思います。はしご車や救急車などのいかにもりっぱな存在に比べ、自分はちびで力がないと悲しく感じているじぷた…… 。でも、山火事が起きたとき大活躍する、その勇敢でまっすぐな姿に、子どもたちもどんなに胸を高鳴らせ、満足することか! 小さくても自分は世の中の役に立つすばらしい存在なのだ、としっかりと思わせてくれる。作者さんの子どもへのまなざしに感動させられます。
また、それぞれの消防自動車の絵のなんと精巧なこと! しかも、人の手のぬくもりが感じられる温かい線なのに、画面から飛び出してきそうな迫力もあって、大人でも圧倒されてしまいます。
コンピュータ時代では生まれないだろう、1963年生まれの大傑作。
懐かしい時代がよみがえってきます
★★★★★
子どもたちに何回読んでやったことでしょう。小さかった彼らが私のそばでまーるい笑顔でいた頃が
よみがえってきます。主人公「じぷた」についてはほかの多くの方がレビューに載せられているのと
同じ気持ちです。
わが家では「いちもくさん」も人気がありました。
「一目散」のことだったと大きくなってから知った子どもたちの驚きの顔が今でも目に浮かびます。
てっきり「いちもく」という名前だと思っていたのでした。私の友達に、幼い頃「太田胃散」は
「おおたい」という人の名だと思っていた人がいます。「いちもくさん」は、これと似たような
受け止め方なのだと思います。
私が子どもの頃の救急車はまさに「いちもくさん」スタイルで、ウーーウーーとサイレンを鳴らして
走っていました。そんな日々も懐かしくよみがえってきます。
大人の皆さんには、渡辺茂男さんが書かれた『心に緑の種をまく』(新潮文庫)もおすすめいたします。
みんなすごいんだ
★★★★★
自分のことを「すごいんだぞ!」と自慢する
はしご車と、こうあつ車と、きゅうきゅう車。
そして子ども達にも人気者のこの三台。
でも、じぷた(ジープを改良した消防車)は
いまいちパッとしません。
ところが、ある火事で大活躍した、じぷたは
一躍人気者に。
というお話。
どんな人にも長所があるんだよ。と言ってくれている様な
優しいお話でした。
男の子向けベストセレクション
★★★★★
車好きに限らず、男の子にはぜひ読み聞かせてあげたい本です。
図書館にもありますが、何度も読める本ですので、買って損はないと思います。
百科系ではなく、車を擬人化したお話で、みそっかす扱いの小さな消防車「じぷた」が、他をうらやみ、自己卑下し、しかしそれをこらえて一所懸命に働いているうちに、思わぬ活躍の場を与えられ、周囲から認めてもらえる日が来る、という筋です。
息子はすっかりじぷたに共感し、何度も読まされました。そのうち自分でも話を覚えて、いっしょに読むようになりました・・・が、実はその頃、彼は字が読めなくて。
つまり、本を丸ごと1冊覚えてしまったわけです。
そんなこともあると話には聞いていたのですが、まさかうちの子がやらかすとは思っていなかったので、じぷたは良い思い出の本にもなりました。
図鑑や百科を眺めがちな男の子を、「お話を読む」ことへ導入するには、最適の素材だと思います。
一度気に入ると、最初古くて地味に思えた絵柄も、一転、渋くて落ち着いた良い感じに見えるから不思議です。
ま、ぜひ一度お試し下さい。
比べない
★★★★★
車が好きなこどもにと思い購入しました。
初めて読んだとき、涙がこぼれました。
人をうらやましく思わなくていい、
人と比べる必要のなさを感じました。
おかげで、他の子と比べることなく子育てをすることができています。
絵本はこどもたちだけのものでなく大人にも大切なものを教えてくれます。