この時代を
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例えば、歴史書を下敷きにした再現ドラマや、漫画で興味を持つ人もいるだろう。
そういった人には目から鱗の作品。
演じ、描かれたキャラクターの印象を引きずっている自分に気が付いて唖然とする。
皇位継承をめぐり、一族を根絶やしにされる時代、傍系が宗家になりのし上がる時代。
現代の感覚ではすぐに受け入れられないのかもしれないが、害のない人物、気弱な人物が
淘汰されず残る時代ではなかった。
日本書紀や書紀は意図的に、後世の者に「そう思わせる複線」を貼っていたのだと思うと
隠された部分を、詳細に検証する著者には感謝したい。
目から鱗。
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本来、歴史書とは、当時の権力者がその権力を正当化するために作るもの。したがってその記述を鵜呑みにすることはしてはいけないとされる。しかし『日本書紀』編纂に近い時代については、比較的信頼できるのではないか、という風潮が強く、『書紀』が描く中大兄皇子像にメスが入ることはあまりなかった。著者が突くのはまさにここ。
蘇我入鹿殺害事件を徹底検証し、中大兄皇子の影に隠されてしまった1人の人物を、クーデターの隠れた主役として捉え直す力作です。
古代史上最大のクーデター劇の真相に迫る
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古代史上最大の政変劇「大化の改新」の真相に対し本書は大胆に迫る。日本書紀などの文献資料を綿密に検討し、大化の改新の真の首謀者、そしてその意義について大胆な見解を提示する。
遠山氏の独特の筆致は読みやすく、興味を誘う。