独自の詳細な調査結果に基づき北朝鮮問題に考察を加える元赤旗平壌特派員の著者であるが、この本においては、1)金日成の死には不自然な点が多く、(断定は避けつつも)金日成は金正日に消されたのではないか?2)北朝鮮で金日成死後、継続・悪化している飢餓は金正日が作り出した人為的な大量殺戮である、という論を展開している。今まで私はそのような話を他で聞いたことがない。
1)に関しては、様々な調査結果から親子の対立(?)が非常に明確にされており、また2)は入手が難しかっただろう各種統計資料に基づき理路整然と説明されていることは圧巻である。また、最終章に「今、何をすべきか」という著者の論も、本書を読めば非常に納得がいく。
2004年までの、比較的最近の北朝鮮、金正日を知る上で非常に重要な本と思われる。5★、お勧め。