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この社会の歪みについて―自閉する青年、疲弊する大人

価格: ¥89,111
カテゴリ: 単行本
ブランド: ユビキタスタジオ
Amazon.co.jpで確認
左翼的ではあるが、意義深い一冊 ★★★★☆
 まず、本書の欠点から言わせてもらいたい。本書はインタビュー形式になっているのだが、質問者がしゃしゃり出ている。本来、質問者は回答者の意見を引き出すことに専念すべきなのであるが、この質問者は自分の考えを語っていて、話を自分の狙う方向へ引っ張っている。
 それから、野田先生は日本の問題点を鋭く突いているのだが、日本の長所については語ってくれない。また、外国の良いところは挙げているが、悪い面には触れていない。これでは不公平ではないだろうか。何だか、日本の典型的な左翼のように、徒に日本を邪悪な国として、諸外国のもっと邪悪なことは無視する傾向があるのではないかと感じられた。世界には、日本よりひどい国がたくさんある。たとえば中国などは、今でも独裁政府が平然と虐殺を行っている。そのような世界の国々の一つとして日本はあるのだ。ヨーロッパの一部の先進国だけと比べれば、日本が後進国に見えるのは当然だろう。また、国旗や歴史観についての意見には賛成できない。この辺も、左翼臭がして心配になった。
 しかし、本書はとても意義深い本であり、共感できるところも多かった。日本の労働者が置かれている悲惨な状況、これについては我々一人一人がプロテストすべきである。それから家庭と学校による教育の歪み。小学生のアンケートで、圧倒的に幸福感が少ない国――こんな社会に生まれた子供は憐れである。本当に、日本は大改革をしなければならない。しかし、市場原理主義とは逆の方向へ変わらなければいけない。
 また、日本には「参加する文化」が貧しい、というのも頷ける。とにかく日本人は、仕事ばかりやらされて疲れきっている。労働としてではない、趣味や芸術などの文化活動は寂れている。やはり日本は、文化後進国で教育後進国なのだ。その事実に国民は気付かなくてはいけない――こんな危機感を本書は与えてくれる。その点で意義深い本だと言えるのである。
つい乗り過ごしてしまいそうに・・・ ★★★★★
野田正彰さんという方を知りませんでした。余り難しい議論も得意ではありません。でも社会はヒステリックになっているような気がするし、正直自分も毎日どうしてこんなに疲れて不安なんだろうと感じています。なんとなく手にした本ですが、私にも分かるような平明な文章でありながら、深く引き込まれる内容でした。通勤の途上で夢中になり、つい乗り過ごしてしまいそうなったほどです。何度でも読み返してみたい本です。出会ってよかった!
おかしさサラッと、危機感は結構煽っている ★★★★☆
この本の長所
現代社会のおかしさがサラッと書かれているところ。120ページぐらいでこれだけ現在の問題点が過不足なく書かれていることは評価できよう。
この本の短所
著者のきらいなものに対する危機感をあおっているところ。フリーター、ニート、携帯電話、意見を言わないことなど、著者が好ましくないと思っていることは結構厳しく書かれている。これでは、著者が批判しているはずの「危機感を煽っている」(p95)ことと同じであり、著者が批判しているはずの「日本の政治家とか権力者」とやっていることは同じである。
結論―著書星5つ。短所星3つ。中間を取って星4つ。
歪んだ社会を中で歪んだままみると、まともに見える。それが落とし穴。 ★★★★★
 内容はさすがに野田正彰、という感じ。「日本」と「他の世界」の違いをシャープに比較しつつ、近代日本の歴史のトピックを押さえながら、現代の日本人の感じる「疲れたな……」という感覚の原因を的確に突いている。情報を切り取ってくるだけのアームチェア・スカラーではなく、授業を通じての学生との打ち合い、ニートとの話し合いで受けた印象も織り込まれていて、面白い。

 幸福感がない社会。それが「普通で、常識」だから、大人も子供も、そんなもんだと思って生き、育て、育てられている。時々与えられるのは刺激であって、幸せとは程遠い。すぐに読み通せるが、長く考えさせられる一書。
簡単に読めるが、奥が非常に深い本 ★★★★☆
現在の日本社会の疲弊を歴史的、文化的側面から鋭く批評されています。
文はインタビュー形式で進められていますが、時折的がずれている質問にも
著者は的確かつ刺激のあるこたえが展開されています。
あまりに歯切れよく展開されているので、重要なことをきちんと脳に刻み
込まれない可能性もあるくらいだと思います。
これこそ、著者の言っている「言葉だけで言っても」という状態かも
知れません。

再び、著者の言葉を借りますが「自分が自分であることの意味を
感じられるために」何度か読み返してみたい書です。