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連合赤軍「あさま山荘」事件―実戦「危機管理」 (文春文庫)

価格: ¥648
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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担当指揮官が語る事件の生々しさ。 ★★★★☆
連合赤軍とか、あさま山荘事件とか、事実として概略は知っていましたが、

自分が生まれる前の話なので、時代背景とかピンとこないところもあったんですよね。

“あさま山荘”だけが独立した事件ではないので、

担当指揮官としては流れを追わざるをえないんでしょうけど、

時系列がよくわからないので、読んでいても、話がいろんなところに飛んで軽く混乱しました。

佐々淳行さんは、決断力・統率力もあって、仕事もものすごく出来て有能な方なのですが、

それが文章に滲み出ていて、ちょっと鼻につくかも。

でも全体としては、亀井静香さん、後藤田正晴さんなど知ってる名前が出てきたり、

現場のこまごまとした雰囲気も伝わって来るし、

事件そのものの緊迫感もすごいので、とても興味深く読みました。
壮大な自慢話 ★☆☆☆☆
浅間山荘を包囲した警察幹部の回想記、ということになっているのだが、実際に起きた事件に題材をとった単なるアクション小説と思ったほうがいい。本人が当時どういう役割を演じた(と思っている)かについての情報はきわめて豊富だが、実際に何が起きていたのかはさっぱりわからない。これほどのページ数を費やしながら、ここまで超主観的な状況描写を続ける神経は並ではない。

本書が最初に出版されたのは1996年であるが、その頃には敵方の坂口弘や永田洋子の手記も出版されていた。しかし不思議なことに、著者はこれらの本を読んだ形跡が全くない。ひたすら主観的思い書き連ねるだけである。にも関わらず、時に記述は非常に細かい。たとえばこんな調子だ。

「内ポケットには香港以来使い込んだパーカーの万年筆と七二年版能率手帳。左手首ではロレックス・オイスターパーペチュアルのブラックフェイスが時を刻んでいる。こいつは香港領事時代、一か月分の俸給にあたる大枚、米貨850ドルをはたいて、分割払いで買ったものだ。」(p.44)

これが、3名の死者を出したこの大事件を記述する本の、第1章に出てくるのである。私はこれを「不真面目」と感じた。残念ながらこの「不真面目な饒舌」は最後まで改まることはない。山荘に持ち込まれたと想定された鉄パイプ爆弾に関する記述はこんな感じだ。

「若草山で鉄パイプ爆弾1発を押収しましたが、かなり強力な爆弾でして、直径4.9センチ、長さ5.8センチ、重量324グラム。両端をゴム年度で詰め、導火線は4.5センチ、中のダイナマイトは72グラム、上下に八号散弾54グラム。」(p.128)

これが丸山参事官の会話中の言葉として出てくるのだが、もちろんこんな詳細の数値を記憶しているわけはないので、手元の警察資料を見ながら適当に会話を仕立てているがバレバレである。本書に出てくる会話文のすべてはこんな調子であり、そのような体裁でもって「民族主義」などと悪し様に言われた長野県警関係者の不愉快さは察するに余りある。

実際、これを読んだ県警関係者は激怒し、本書が映画化される際には関係者の協力は一切得られなかったと聞く(週刊誌に何度か記事が載ったので記憶している方も多かろう)。さらに、敵方の坂口弘からも、無関係の爆弾事件と関係付けられたかどで訴えられ、著者の敗訴が確定している。警備担当幹部にして、新左翼運動に関する知識の不正確さで訴えられるとは、失態としか言いようがない。

最後に、これは言ってはいけないことなのかもしれないが、千名以上の警察官を動員しながら、部下を2名も死なせた指揮官が、これほど誇らしげに事件を語るのは、著者のある種の人格を表しているように思えるのは私だけだろうか。
戦争に燃える男たち ★★★★☆
あさま山荘事件において、警察の意識は犯罪レベルから明らかに戦争レベルへと移行している。そしてその中で人間の強弱も露骨に現れてくる。これはまあ男の本性みたいなもので、だからこそ警察はいまだにテロなどに猛烈に燃えるのだろう。
戦後の歴史の一面を知るために ★★★★☆
浅間山荘事件に至るまでのよど号ハイジャック事件や警察戦国時代とまで語られる、その他学生運動を含む事件の数々とその関係を知ることができた。また、三島事件にも立ち会っており、本書に書かれた血染めの絨毯の逸話には旋律が走った。

佐々氏の半ば愛らしさが漂う文章は、硬くなりがちな題材にいささか感情移入しながら読めるのでなかなか読みやすい。

あくまで警察側に属した佐々氏の目線であり、その連合赤軍が結成するルーツや学生運動が何故起こったかまでは言及されていない。しかし少なくとも浅間山荘事件の全貌をある側面から知ることができ、事件に興味のある方は一読の価値ありだと思う。
この事件で終止符が打たれた ★★★★☆
大学の2年生だったと思う。釘付けで見ていた。なんともいえない気持ちで見ていた。あのような活動家になりそうな学生が回りにそこそこいた時代である。人質が救出されて、彼らが逮捕されて・・このあたりまではなんともいえない空虚さがあった。そのあとリンチ事件が発覚して急速にこの革命ごっこは終焉を迎えてしまった。この本はその空虚さを取り扱った本ではない。今となればどうやってテロリストをやっつけ、人質を救出するかをテンポ良く、まるで映画のようである(映画化されましたけど・・)。余談になるがこの事件の犯人の1人の実家(当時は旅館)が大津市のさるところに今も空き家となって残っている。時々前を通る時がある。気のせいか36年の風雪に耐えて何かを訴えているかのようにみえる。