今でこそ、こんな学生運動がおこることは少ないだろうが、それは
世代の違いなのか、時代の違いなのかは、言えない。
これは、時代が作った事件であるとも思える。
身近な両親・祖父母の青春の時代に、何が有ったのか・何を考えていたのか。
学生は、篭城してまでの抵抗に、どんな理想と信念を抱いていたのか。
そうまでして貫きたい信念を、今の日本はもっているのか。
ただの事件紹介として読むことができない一冊だ。
地上数十メートルから投下された石がどれほどの破壊力を持つのか、暗算で瞬時に答えが出せるくらいの知能を当然持ち合わせているはずの秀才が、目をつり上げて警官隊に投石をしている場面を思い浮かべて気分が悪くなりました。 サリンガスを平然と製造し散布したオウムの悪魔どもと姿が二重写しになったからです。
この本を著した佐々淳行氏は、まさにその修羅場で「ハシカに罹った秀才」達を制圧すべく職務を遂行されたわけで、生温い日常にどっぷり浸かっている私には到底真似ができるわけもなく、只々尊敬あるのみです。安田講堂に立て籠もり、頭デッカチではねっ返りのヒヨッコ達が何を考えていたのか・・・・また、そのヒヨッコたちを怪我させないように気を配りながら制圧行動をとった警官達が何を思っていたのか・・・警備陣の舞台裏を垣間見られた感じがして、一時間ほどで一気に読み終えてしまいました。
当時のような脅威が表面的になくなった今日(実際にはたくさんあるのですが・・)、警官のサラリーマン化と緊張感の喪失により質の低下と治安の悪化を招来していると考えるのは私だけでしょうか・・・・・・