そして、カウンセラーとしての経験から、いくつかの例を提示。その中で、アメリカと日本では、ACの質が違うのだから、その回復の過程としても違う視点を提唱されています。自分をインナーチャイルドとして対象化して、自ら自分を癒そうとするのではなく、自分の中にあるインナーペアレンツを自覚し、自分とうちの中にある親との関係を整理していく。経験から発せられたメッセージには説得力があります。
この本の中で、著者が特に力を入れてメッセージを投げかけているのは、団塊の世代といわれる現在の中高年です。親がいて、子供がいるというサンドイッチの世代であり、子育てや仕事にひと段落着いて、自分の人生を生きようとしたときに、なぜか生きづらい。中高年にもなって自分の苦しみを親のせいにするのは、おかしいんじゃないか。そう感じている人にこそ、ACの言葉を届けたい。そんな、筆者の思いがあふれています。
最後に、この本のなかの一節の表題とされている言葉を紹介します。
「ACは優しさと希望と」
この一節は、とくにお勧めです。
もっと情報がたくさんあり、詳しいものもあります。
信田さんの意見があり、それが書かれているところが、
この本のあったかさなんだと思います。