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夫婦善哉 (講談社文芸文庫)

価格: ¥1,058
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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テレビで見て ★★★★☆
何かの番組で、夫婦善哉を取り上げながらカレーの自由件などの大阪のご飯屋さんを紹介しているのを見て、夫婦善哉は食べたことがあるけど、小説の存在を始めて知り、購入しました。

内容は良かったです。特に大阪に地理感のある人は、親近感がわいて読みやすいと思います。
「可能性の文学」について。 ★★★★★
表題作より併録のこちらの批評の方が面白かった。
文学論好きな方に是非読んで頂きたい。ごく短いので、すぐに読める。

この批評は新しい文学を志向しながらも、いたずらに古い文学を貶すことなく、
「古い文学で定石となっている形式(主にタイクツな身辺小説)」
を無条件で良しとすることの弊害を説いている。

冒頭の将棋名人の例にあるように、たとえ勝負に負ける羽目になろうとも、
文学上の定石を妄信してそれに捕らわれてはならないのである。
むしろ乗り越えねばならない。

定石ではないやり方を用いて結果的に負けてしまってもしょうがないが、
事なかれ主義で定石の枠に留まっていてはならず、
定石から敢えて外れて可能性を広めねば日本文学の発展はないのである。

当時の小説好きの人々が、
「私小説・身辺小説(=事実の裏打ちのある小説)」
「娯楽性のないタイクツな小説を是とすること」
にどれほど拘っていたかが分かり、興味深い。

志賀直哉批判の作品としては、
他に太宰の「如是我聞」や安吾の「不良少年とキリスト」などがあるが、
これらと比して「可能性の文学」における志賀直哉批判はより理屈がきちんとしており、
読み手に批判内容が伝わり易いように思う。


目次
・夫婦善哉
・放浪
・勧善懲悪
・六白金星
・アド・バルーン
・可能性の文学
内容はさておいて… ★★★★☆
実は初めて原作本を手に取りました。内容は殆ど映像から。
森繁久弥演ずる映画は何度も見たし、杉浦直樹だったか(!?)主演のTVドラマも
見たような気がします。大人になる前には意味のわからない話でしたが...。
なんであんな男に…と思ってた青い自分がなつかしいです(^^;
原作の文体がやはり現在の文体と違うので読みづらく…と申したら
織田ファンに叱られそうですが、私には残念ながらむつかしかったです。
ただ本の装丁が素晴らしく洒落てます。
そして作者自身の全原稿(写真)からかもし出されるオーラ!!
ある意味この本は芸術品だと思います。
織田作ファンには★★★★★でしょう。 ★★★☆☆
本書の前半は『夫婦善哉』正編・続編の活字版。後半が続編の肉筆原稿の複写です(一冊の半分以上を占めている)。私は熱烈な織田作ファンとまではいかないので、ちょっとソンをした気がしました。新発見の続編だけでは一冊にとても足りないので、出版形態としてはありなのでしょうが、せめて手に取る前にこのことを知っておきたかったです。内容は文句なしに面白く、豊田四郎監督の「続・夫婦善哉」と比べてみるのも興味深いです。織田作ファンにとっては間違いなく五つ星。
ラストシーンが心を掴む。 ★★★★☆
ラストシーンで心をつかまれ、解きほぐされる。
多くの話が、「こりゃどうにもならんぞ」と、半ば絶望、半ば諦観してしまうものの、ラストの数ページで、ほっ、と硬くなった心を解きほぐしてくれる。

舞い上がる羽毛のように、ふうわりとやさしく着地してくれる、そんな小説である。