あれ・・・あれれ?
★★★★☆
少し癖のある文章かとは思いますが、
読み出すと止まりません。
「最後の最後で、そうきましたか!」
というのは、魔性の子とか、東亰異聞と同じですね。
毎回、やられてしまいます^^。
途中の展開が二転三転としていきますので、
整理をしながら読むのは大変ですが、
そういうものが大好きな方なら、
存分に楽しめるかと思います。
狙いがサッパリ見えない凡作
★★☆☆☆
夜叉島と言う邪教が支配する孤島を舞台にした作品。物語は調査事務所の式部が失踪した葛木と言う女性を追って、葛木の出身地の夜叉島に辿り着く所から始まる。島の住民は余所者に対して徹底的に閉鎖的で、特別な神事を行なっている事が冒頭で説明される。
島に着いた式部の目に夥しい風鈴と風車が映った。式部はまず民宿を訪れるが、閉鎖的な島に民宿がある事自体オカシイ。村には元網元で絶対的権力者の神領家があり、葛木と連れの女性麻理はその神領家へ行った事が島への宅配業者の口から示唆される。そして、式部は葛木の実家から最近のものと思われる大量の血痕を発見する一方、派遣医泰田から、数日前、神社の木に逆さに磔にされた全身焼け爛れの女性の全裸死体を発見した事を聞かされる。その形跡が完全に隠蔽された事も。麻理が神領家の当主の隠し子だった事も判明する。葛木の父、麻理の母が過去のほぼ同時期に殺害された事も。
しかし、このような無法状態の孤島で、葛木の捜索に来た式部が、身の危険を全く省みずに平然と捜査を強行する行動原理が不可解。無事でいられる方が不思議なのに、作者はこの矛盾に目を瞑っている。民宿の主人や老母や分家の当主が島の秘密をベラベラと喋るのも島人の設定を考えれば奇異。本来は式部が骨身を削って調べる所だろう。ご都合主義が過ぎる。「黒祀の島」と言う仰々しい題名の割には雰囲気作りも平凡の極み。第一、祭祀権を握る絶対権力者が支配する因習の島での本家・分家争いを中心とした因果譚や、守護の役割なんて既視感があり過ぎる。帯に「実力派の初の本格推理」とあるのが虚しい出来。これなら、濃厚な伝奇ホラー味に徹した方が作者の持ち味が出たと思う。狙いがサッパリ見えない凡作。
3回も…
★★☆☆☆
こんなに印象的なタイトルなのに、きれいに忘れて、なんと3回も買ってしまった。
「あ、この題名面白そう」と3回買ったということです。アホですね。
そのたびに、冒頭近くの「風車」の描写で早々と思い出すわけです(笑)。
「うわーっ、またやってしまった!」と(笑)。
因習の島という閉鎖社会の不気味な雰囲気が、とても良く書けていると思う。
最後でホッとできるので、後味も悪くないし。
ただ、探偵役に魅力がないのと、殺される人の数が少ない(笑)のとで、あまり気持は入りませんでした。
文章も、決して下手ではないが、平凡で事務的だし。
ともかく、4回目をやらないように気をつけなくては(笑)。
(と思っても、ずっと手元に残しておきたい程の作品ではないので、毎回処分してしまう。だから次もやるかもしれない)
ちょっと地味めですが
★★★★☆
実はこれ、横溝正史の短編を小野不由美が長編にリメイクしたものなんです、といわれたら信じてしまいそうな、そんな作品です。(もちろん違うんですよ、念のため。)
古い因習の残る島、猟奇的な殺人、といったおいしそうな材料が出てきます。
が、連続殺人が次々と起きるというわけではなく、全体に地味ではあります。
逆にいうと、その地味な話を、ここまで読ませてしまう作者の力量をほめるべきでしょう。
筆運び、細部へのこだわり。そんなものが作品を支えています。
細部へのこだわり、ということで、ひとつの例をあげます。
行方不明の人物を探す主人公が、ある重要人物と会談します。
そのとき、重要人物は、人払いしようとします。
しかし、まわりは逆らおうとします。
結局は、重要人物が重ねて人払いし、お付の者が「自分もついていますから」と押し切ります。
どうです。時代劇にでも出てきそうな、実にありきたりのシーンです。
最初読んだときには、まず大抵の人がすんなりと読み飛ばすでしょう。
しかし・・・。
全編を読み終わってから、再度読んでみてください。
まったく違った意味がこめられていることに気付いて、ぞっとするはずです。
私自身は、ここまで細部にこだわる作者の執念に、肌が粟立ちました。
読み終わってから、やたら尾をひく作品でした。
道具立てや描写は良いのですが…
★★★☆☆
道具立てや綿密な描写、文章や全体の構成等は素晴らしく、途中まではかなり楽しめました。しかし神領浅緋が登場しアリバイがどうの動機がこうのと語り始めた所で一気に醒めてしましました。座敷牢で下界から遮断された所で育てられた人間が、なんでそんなに俗っぽいのかと。座敷牢で西村京太郎でも教科書代わりにして育てられたのか。なんだかなぁ、という感じで終盤は惰性で読み続け、オチもいかにも取ってつけたようで白けました。まあミステリだからこんなものだと言われればそうかも知れませんが…。それでも途中まではかなりいい感じだったので星3つ、かな。