インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

The Hammer of Eden

価格: ¥705
カテゴリ: マスマーケット
ブランド: Fawcett
Amazon.co.jpで確認
安心して読める長編である。遺伝子操作がテーマの『The Third Twin』(邦題『第三双生児』)から3年。著者いわく「今までで一番の傑作」という本書は、カリフォルニア州が舞台。
「終焉の地」として、ようやく築き上げた自分たちのコミューンが、州の一方的なダム建設により水没してしまうことになった。それ阻止するべく、リーダーであるプリーストは、「ハンマー・オブ・エデン(エデンの鉄槌)」と名乗り、インターネット上で州知事を脅迫する。州のすべての発電所開発をやめねば、地震を起こすと。
彼らの脅しは、FBI捜査官ジュディを苛立たせた。上司が交替し昇進を見送られた上に、悪ふざけとしか思えない一件を担当させられたからだ。だが、ただのいたずらとして見なされた脅迫は、プリーストが人工地震発生マシーンを手にしたことで、急速に現実味を帯びていく。
「地震を起こす」という奇抜で制約も多いアイデアに、さして違和感を覚えないのは、登場人物の心理描写が巧みだからだ。600ページを超す肉厚なサスペンスは、話の立ち上がりこそ遅いものの、スピードに乗るとぐいぐい読ませてくれる。さらにうれしいのは本のつくり。まるでペーパーバックのような外見である。この厚さで案外軽いから、通勤読書も苦痛ではない。(文月 達)
自然現象を利用したテロ小説 ★★★★☆
地震という自然現象を利用したテロをベースにした小説の設定に非常に興味を持った。地震大国日本に住んでいるものには、この様な方法での犯罪が成立するとしたらと思うと緊張感を持ってあっという間に読んでしまった。人間関係の描写もテンポが良く、簡易な英語で表現されており、いろんな意味で日本人向けに最適なサスペンス小説であるといえる。
自らを守るため、人工地震発生機械を得たコミューンのリーダー ★★★☆☆
人工的に地震を発生させることができる。それを誘発させる機械を手に入れたプリースト率いる北カリフォルニア、シルバー・リバー・バレーで平和に暮らすコミューンが、環境テロリストとなり、州知事を脅迫する。そもそも、州の発電所建設によってつくられるダムのため、自らのコミューンが水没するという存亡の危機を回避するための窮余の策だった。

この物語がすごいところは、「本当に地震を誘発させた」ところにある。フォレットは、この題材で、本書を凡百のパニック小説にすることなくあくまで抑えた筆致で、タイムリミットを定めて行動するプリースト側の作業を軸にしたサスペンスに仕上げている。

相対するのはFBIの女性捜査官ジュディ。彼女は、他のフォレット作品のヒロインたちと同様に、機転が利き、勇敢で、負けん気が強いタフな女性である。彼女は地震学者マイケルの助けを借りながら、集められた証拠を元にプリーストにひたひたと迫る。

とにかく着想がユニークというか、スケールが大きい。また登場人物たち、特にプリーストとジュディの心理描写がいちいち丁寧で、それだけで読者は感情移入してしまう。それらがあいまって、フォレットのわかりやすい簡潔な表現で、時系列に進むストーリーに、これだけの長い物語をスイスイ読ませてしまう。

本書は、環境問題に人工地震発生メカニズムという一見荒唐無稽な要素を取り入れ、なおかつ“エコ・テロリスト”と化したプリーストたちと“強い女”ジュディとの攻防をスリル満点に描いたエンターテインメントである。
読みやすく分かりやすいスリラー ★★★★☆
 いつも通り読みやすく、現代小説なので知らない単語も少なく、すらすらと読めました。ストーリーも滑らかです。
 ただし、主人公の女性捜査官の後半の行動は、一人の捜査官であればよいのでしょうが、捜査全体の司令塔の役割であることを考えると、不合理としか思えません。
 なお、人工的に地震を起こすことができれば、
1 地殻変動のストレスが巨大になる前に地震を起こすことができれば、被害を小さくすることができる。
2 仮に地震の規模を小さくすることができないとしても、地震の起こる時間が分かれば、いろいろな対策をとることができるので、少なくとも人的被害は大幅に軽減できる。
ということから、ノーベル賞を10回くらい贈呈してあげたくなるような功績だと思います。
 
plot実にユニーク ★★★★☆
Folettは種々の題材を書くが、地震を脅迫の種に使うと云う発想は独特。ロスアンジェルスからサンフランシスコの方向に1040kmも続くSan Andreas断層は、世界一の大地震多発地帯。この山合いの谷間の国有地を借りて元ヒッピー達がワインを栽培して平和に暮らしている。そこにカリフォルニア知事名で、「ダムを作るから立ち退け」と退去命令。コミューン方式で暮らしているこの群れには、電気も,水道も無縁だ。怒り心頭に達した指導者Rickは、州知事宛てに「全州で発電所計画停止せよ,さもなくば翌週金曜日に地震を起こす」と脅迫状をラジオトークショーに送るが,始めは誰も相手にしない。FBIのJudy Maddox(IrishとVietnameseとの混血、イチバツ、美人、Stanford卒と読者サービス)がモタモタしているうち最初の地震が過疎地帯で起きる。「テロリストは相手にせず」、との州知事に、2度目の地震を送油管の通っている田舎町で起こす。漸く起震方法を突き止めた

Judyは第3の地震を防ぐべく犯人達の住所割り出しに必死。サンフランシスコ湾の工場地帯に起震装置が置かれているのを割り出し,危機一発で食い止める。 pp.435-436に州知事・週緊急対策部・FBI Sacramento・FBI本部・地震学者・石油探査会社等数十名への謝辞があるが,起震装置は実は石油探査会社が使うもの。これで本当に地震が起こせるかは、断層沿いの歪集積地点と月の満ち欠けにも依存するらしい。地震学者にも聞いているのだから,途方も無い話ではなさそう。FBIのデータベースがMS社のAccessだと有るが,意外。

60年代後期に学生生活を送った人・子供のアレルギーに悩む人は、この作品に共感するかも。構文、平易;語彙、平易;読み易さ、5.0/5.0;作品点数、4.0/5.0

着想の妙でエンタメしてますけれど… ★★★☆☆
 ケン・フォレットって個人的には『針の眼』で終わってる作家だと思っておりますので、それほど期待しないで読み始めたらやっぱりそれなりの出来でありました(^_^;)。冒険小説書きではなくてエンタメ小説家というスタンスが彼の場合相応しいと思うのよね。傑作と誉れ高い『大聖堂』なんてまさしくそれ。なかなか読む切っ掛けが無くて未読のまま放り出してありますが、作者自身の興味もサスペンスというより人間観察へと移行しているようで、キャラの仕上がりが彼にとっては最重要課題のようでもあり、ゆえに我々冒険小説派には少々物足りなく感じてしまうことも度々。ケン・フォレットならもっと書けるはずだと思い続けて十数年(^_^;)。それだけ期待していた作家なんですがねえ。

 まず着想ありき。サイスミック・バイブレーター。地震工学を見聞きして引っ張り出した最新機器から構築したストーリーは荒唐無稽とは言い切れない迫真力も少しばかり兼ね備えており、東海大地震に脅える暮らしをしている日本の読者には興味を引っ張る部分があるわけで、サンアンドレアス断層を大井松田あたりの大断層を思い浮かべて比較してしまう現実に即したサスペンスに、フォレットの目利きの確かさを感じてしまうのさ。あるいはキャラ。平凡なヒッピー・コンミューンの一員が期せずしてテロリストへと変貌を遂げる過程をリアルに描き出しているのだな。ドロップアウトした人々が普通から普通でない事態に遭遇したらこうなる的な臨場感が、ニクいほど上手く書き込まれているのはさすがフォレットである。主人公の女捜査官にはさほど思い入れはなかったけれど、どこか憎めない過去からの犯罪者プリーストの存在がこの小説に一本芯を通した感じがあって出色のキャラではあったなあ。