Judyは第3の地震を防ぐべく犯人達の住所割り出しに必死。サンフランシスコ湾の工場地帯に起震装置が置かれているのを割り出し,危機一発で食い止める。 pp.435-436に州知事・週緊急対策部・FBI Sacramento・FBI本部・地震学者・石油探査会社等数十名への謝辞があるが,起震装置は実は石油探査会社が使うもの。これで本当に地震が起こせるかは、断層沿いの歪集積地点と月の満ち欠けにも依存するらしい。地震学者にも聞いているのだから,途方も無い話ではなさそう。FBIのデータベースがMS社のAccessだと有るが,意外。
60年代後期に学生生活を送った人・子供のアレルギーに悩む人は、この作品に共感するかも。構文、平易;語彙、平易;読み易さ、5.0/5.0;作品点数、4.0/5.0
まず着想ありき。サイスミック・バイブレーター。地震工学を見聞きして引っ張り出した最新機器から構築したストーリーは荒唐無稽とは言い切れない迫真力も少しばかり兼ね備えており、東海大地震に脅える暮らしをしている日本の読者には興味を引っ張る部分があるわけで、サンアンドレアス断層を大井松田あたりの大断層を思い浮かべて比較してしまう現実に即したサスペンスに、フォレットの目利きの確かさを感じてしまうのさ。あるいはキャラ。平凡なヒッピー・コンミューンの一員が期せずしてテロリストへと変貌を遂げる過程をリアルに描き出しているのだな。ドロップアウトした人々が普通から普通でない事態に遭遇したらこうなる的な臨場感が、ニクいほど上手く書き込まれているのはさすがフォレットである。主人公の女捜査官にはさほど思い入れはなかったけれど、どこか憎めない過去からの犯罪者プリーストの存在がこの小説に一本芯を通した感じがあって出色のキャラではあったなあ。