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「兵士」になれなかった三島由紀夫

価格: ¥1,470
カテゴリ: 単行本
ブランド: 小学館
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可哀相な三島由紀夫さま! ★★★★☆
私は政治音痴ですので、三島由紀夫が自衛隊で行おうとしたことがよくわかりません。
作家としての三島由紀夫は仮想の人生ではなく、実人生、生身の人生を生きてみたかったのではないでしょうか?
しかし、そこにあるものも、舞台を頭の中から、実人生に変えただけの、やはり仮想の人生の中の、仮想の自分でしかなく、いつのまにか仮想の自分に本当の自分が飲み込まれてしまったのではないでしょうか?
蒼白い文弱な文学者ではなく、武士のように、思想を行動にして実践する生き方への憧憬はすさまじくあったのではないでしょうか?
やはり、三島由紀夫さまは、剣ではなく、ペンで闘うべきであったと、思います。
これは三島由紀夫の評伝ではない ★★★★☆
これは三島由紀夫の評伝ではない。この本はあくまで、世界的にも特殊な存在である自衛隊について書かかれた本であり、三島由紀夫というフィルターを通して、自衛隊とそこに所属する人間達について書いたものである。自衛隊とまともに切り結んだ知識人が過去に三島しかいなかったから、三島を題材に選んでいるだけだ。
愚直なまでに誠実で一生懸命な姿勢で「兵士」となることで自衛隊の内部に入り込み様々なことを見聞きした三島由紀夫が発した問いと彼の絶望に対して、どのように自衛隊の現場の人たちは答えたのか(というか反応したのか、が正しいけど)。おそらく自衛隊が普通に軍隊であれば決してありえない問いと答えがそこにはある。戦後の欺瞞が生み出した歪みがそこに存在している。
ちなみに、最後に守屋氏が、名前はかかれてないけど登場してきている。兵士シリーズ最初の頃では広報課長、この本が書かれた頃は事務次官として。
聞き飽きた ★★★☆☆
興味深い内容なところもありますが、もう三島に関しての「あの筋肉は見せかけだけで実は体力は無い、運動神経が鈍い」「コンプレックスが激しい」的ツッコミ抜きの本が読みたいです。三島の生き方はコンプレックスだけでは全く説明出来ないし、世の中に肉体的コンプレックスが無い人なんているのか!?じゃああなたや他の作家はそんなに自信があって三島より上のルックスなのかとツッコミたくなります。まあそれだけ人気のある人だと思うことにしてますが、今の人はあまり三島を知らないから肉体とコンプレックスの事を書いとけばOKと思われれませんか?
「日本の歪み」は、自衛隊に集約されている。 ★★★★☆
足掛け15年にわたって自衛隊の生の姿を追い続けた著者の「兵士」シリーズの最終巻。

この本で触れているように、著者には三島由紀夫に格別の思い入れがある。だから、かつての名著書「メディアの興亡」の書き出しも、新聞社の盛衰について書かれているものであるにも関わらず、三島由紀夫の死を、日本IBMの社員がアメリカの本社の役員にいかに説明するかの描写となっている。

一連の「兵士」シリーズからこの本に至り、著者の主張は明快だ。要するに、戦後日本の歪みが最もはっきりと観察できる場所が自衛隊だということ。逆に言えば、三島が「真の日本、真の日本人、真の武士の魂が残されているのを夢みた」という自衛隊を見れば、日本にどれだけおかしな道を辿って今に至ってしまったのかがわかるということだろう。

そして三島が最後に自衛官に向けてバルコニーから叫んだ、「魂の死んだ巨大な武器庫になって、どこへ行こうというのか」という問いは予言となって、今の私たちに突き刺さる。このことを、綿密なインタビューと構成によって、著者は改めて読むものに指摘してくるのだ。

一時物議を醸した新テロ対策特措法も、可決のなったのち、2008年2月時点ではすっかりマスメディアにとりあげられることもなくなった。さて、それでよいのか。ちょっとこんな本も読んで考えてみるのも、良いかもしれない。

また、三島文学好きが、彼が最後に何を考えていたかを知るにも、非常に優れた「資料」となるべき良書だ。
実直で生真面目な三島由紀夫 ★★★★☆
自衛隊での体験入隊のときに三島由紀夫という人物を当時の自衛官達はどのように感じてどう接していたのかということが書かれた本である。
ここからわかることは
1)インテリのキャリア組には警戒されていた
2)生え抜きのたたき上げ組にはその人柄を尊敬され慕われていた
という点である。
三島由紀夫という人は自己愛性人格障害ではなかったのか、と病跡学的興味で断ずる精神科医が多いが、この本の内容はその見解に対して明確な否定的資料を与えるものである。