5編の短編を編んだ新刊
★★★★☆
辻仁成氏の2008年9月に発売された新刊。
見知らぬ女につきまとわれる郵便局員の生活を描いた「ポスト」、
内戦中の地域へボランティア医師として訪れていたところ、ゲリラに
襲われ未開の地にある集落で過ごすことで、自分の価値観や人生が変わって
いく男をモデルにした「明日の約束」、
ピンク色の鳩と妻の姿を描いた不思議な「ピジョンゲーム」、
家族や犯罪や道徳的な罪が、物語の展開とともに明らかになっていく
「隠しきれないもの」、
歌を盗まれた背景に男と妻の心の重さを描いた「歌どろぼう」
この5編に加えてあとがきにかえて、「世界で一番遠くにみえるもの」
が収録されている。
著者の作り出す幻想的な世界観、はっきりしないが次第に見えてくる
情景が面白かった。