「デフレは経済に悪影響を及ぼす」「金本位制は時代錯誤」「金融危機の原因は自由放任政策」――。これらの通説は、どれも誤っている。
　通説がいつも正しいとは限らない。いや、むしろ現在の経済問題は、通説を疑わないかぎり、理解できない。なぜなら経済問題を解き明かすはずの経済学が、偏ったイデオロギーによってゆがめられているからである。そのイデオロギーとは、市場経済に国家が介入することを当然とみなす思想、すなわち国家主義である。
　国家主義の悪しきイデオロギーがもたらした経済の病理を解き明かすには、このイデオロギーに正面から対峙する理論によらなければならない。その理論をリバタリアニズム（完全自由主義）という。リバタリアニズムの立場から、通説に疑いを投げかけ、経済問題を正しく解き明かそうと試みたのが、本書である。（「はじめに」より）

　徹底した自由主義の立場から経済・政治・社会の諸問題を斬る異色のブログ、「ラディカルな經濟學」。電子書籍化第一弾となる本書は、2010-12年に掲載した記事から経済書の書評を選び、書き下ろしを加えたボリューム満点の一冊。ありふれた解説ではわからない経済の本質がつかめるだけでなく、★印による五段階評価でブックガイドとしても便利。

＜目　次＞
はじめに
第一章　デフレの神話
『日本経済のウソ』
『自分をデフレ化しない方法』
『デフレと円高の何が「悪」か』
『デフレの正体』
『レジーム・チェンジ』
『本当の経済の話をしよう』
『日本経済復活 一番かんたんな方法』

第二章　通貨を考える
『通貨戦争』
『「通貨」を知れば世界が読める』
『マネー避難』
『ロン・ポールの連邦準備銀行を廃止せよ』

第三章　財政危機の彼方
『日本が破綻しない10の根拠』
『さらば、デフレ不況』
『数学を知らずに経済を語るな！』
『「借金1000兆円」に騙されるな！』
『エンドゲーム』
『アメリカが暴発する！』

第四章　貿易への嫉妬
『自由貿易の罠』
『経済学革命』
『TPP亡国論』
『ゴーマニズム宣言スペシャル 反TPP論』
『日本破滅論』
『2013年 大転換する世界 逆襲する日本』

第五章　経済学者たち
『ノーベル経済学賞の40年』
『古典で読み解く現代経済』
『資本論』
『一般理論』
『この世で一番おもしろいマクロ経済学』
『さっさと不況を終わらせろ』
『世界の99%を貧困にする経済』
『選択の自由』
『貨幣論集』
『新オーストリア学派とその論敵』

第六章　市場対国家
『不道徳な経済学』＊
『貧乏はお金持ち』
『脱貧困の経済学』
『マクロ経済学』
『大災害から復活する日本』
『競争の作法』
『日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門』
『官僚の反逆』
『世紀の空売り』
『ブーメラン』＊
（＊＝書き下ろし）

＜著者紹介＞
木村 貴（きむら・たかし）
　1964年熊本県生まれ。一橋大学法学部卒業。新聞社勤務のかたわら、ミーゼス、ハイエク、ロスバードらのオーストリア学派経済学を中心に、欧米の自由主義思想（リバタリアニズム）を独学。インターネットを中心に個人で評論活動をおこなう。