サンデル教授、ちょっと変ですよ――リバタリアンの書評集 2010-12〈政治・社会編〉 (自由叢書)
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社会とは、法的に対等な個人と個人が自発的に協力することによって成り立つものである。一方、自発的な協力でなく、強制によって成り立つのは、社会でなく、国家である。国家においては、政治家や官僚といった政府を構成する個人が、それ以外の個人から税という名目で強制的に金銭を奪う。
強制によって人間同士の信頼関係は生まれない。人間が幸福かつ平穏に暮らすために必要なのは、自発的な協力であって、強制ではない。経済的手段であって、政治的手段ではない。社会であって、国家ではない。その意味で、政治と社会をはっきり区別することは、物事を正しく理解するうえで、きわめて大切である。本書のテーマは、その「政治」と「社会」である――。(「はじめに」より)
徹底した自由主義の立場から経済・政治・社会の諸問題を斬る異色のブログ、「ラディカルな經濟學」。経済編『デフレの神話』に続く電子書籍化第二弾は、2010-12年に掲載した記事から、政治・社会をテーマとした本の書評を選んで加筆・修正を施し、書き下ろしを加えたもの。肩のこらない(?)マンガ評と映画評も収めた。★印の五段階評価を付す。
<目 次>
第一章 サンデル教授、ちょっと変ですよ
『ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業』*
『これからの「正義」の話をしよう』
『それをお金で買いますか』序章
『それをお金で買いますか』
『知的唯仏論』
第二章 平和の敵は政府
『静かなる大恐慌』
『老子』
「西郷札」
『原爆投下決断の内幕』
『他人のカネで生きているアメリカ人に告ぐ』*
『超大国の自殺』
『南北戰爭の遺産』
『迫りくる日中冷戦の時代』
『戦後史の正体』
第三章 無縁社会は悪くない
『人はひとりで死ぬ』
『非選抜アイドル』
『原発のウソ』
『「反原発」の不都合な真実』『原発「危険神話」の崩壊』
『社会を変えるには』
『踊ってはいけない国、日本』
『国マニア』
『文明は暴力を超えられるか』
第四章 民主主義・保守主義・資本主義
『若者を殺すのは誰か?』
『図説 ハプスブルク帝国』
『アナーキズム』
『日本人として読んでおきたい保守の名著』
『山は市場原理主義と闘っている』
『人間の叡智』
『ふしぎなキリスト教』
第五章 マンガで自由を読む
「ビョードーばくだん」(『ドラえもん』)
「税金鳥」(『ドラえもん』)
『まんがで読破 共産党宣言』
『遠くにありて』
『銭ゲバ』
『アイアムアヒーロー』
『ZUCCA×ZUCA』
『闇金ウシジマくん』
『新ナニワ金融道』
『テルマエ・ロマエ』
『イナズマイレブン』
第六章 映画で自由を考える
『アバター』
『マン・オン・ワイヤー』
『トイ・ストーリー』
『荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論』
『アジャストメント』
『刑事コロンボ』
『百万円と苦虫女』
『グラッフリーター刀牙』
『アイアン・スカイ』
(*=書き下ろし)
<著者紹介>
木村 貴(きむら・たかし)
1964年熊本県生まれ。一橋大学法学部卒業。新聞社勤務のかたわら、ミーゼス、ハイエク、ロスバードらのオーストリア学派経済学を中心に、欧米の自由主義思想(リバタリアニズム)を独学。インターネットを中心に個人で評論活動をおこなう。