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生命の木の下で (新潮文庫)

価格: ¥420
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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科学者で文章の達人 ★★★☆☆
日本には(欧米は寡聞にして知らない)文章の練達でしかも科学者。
という伝統がある。寺田寅彦氏などがその代表とされている。

この本の著者、多田富雄氏もその一人とされている。なにしろ、
謡曲も書いたりするのである。(謡曲は能の台本、これをもとに演ずるのが能
つまり、能を書くとは基本的に言わない。能はあくまで演ずる)

それに『免疫の意味論』は確かに名著なのである。

期待して読んだのがいけなかったのか、感想は「えっ?」であった。

巻末のエセイを医者で小説家の加賀乙彦氏は「すばらしい短編」
「あっと驚く結末」と絶賛するが「予定調和の結末」の間違いではないのか。

これは、おそらく著者のせいではないが、編集者の皆さん校正くらいちゃんとやってください。
『パプアニューギニアで謎の消息を絶った』 って………
著者が受けた文学や哲学からの影響をはじめて知った ★★★★★
世界的な免疫学者である著者。最近では能作家としても知られている。いままでにもこの人の本を読んだ。読みやすくわかりやすい文章でありながら,内容がしっかりしているという印象。

第一章は旅行記。なぜここまで苦労してアフリカの奥地まで行くのかわたしにはわからない。ただ,その思いの強さと,そこにいたるまでの状況を,文章だけで見事に表現している。また,麻薬中毒から村人を救うグループに会いにゴールデントライアングルまで。ここでも,著者の桁外れた好奇心がうかがえる。どうしてここまでして人を救うことができるかを知りたいのだろうが,わたしにしたら,どうしてそのために,そこまで出かけていけるのかが知りたいくらいだ。

第二章は,著者のものの見方がよくわかるエッセイだ。時にやさしく,時に厳しい。科学者らしい語り口(とわたしは思う)で,正月や2000年問題,景気,教育,音楽,自然など,さまざまな話題が登場です。第一章と重複する話題があるのはやや気になるが,ここは気楽に読み流した。

第三章では,著者の内面が現れる。わたしは免疫に関する本しか読んでいなかったので,このような文学や哲学の影響についてははじめて知った。大変興味深い章だった。やさしさの哲学は,特に印象に残った。

なお,先日,著者が亡くなった。脳梗塞で倒れた後も,リハビリをしながら活動されていることをニュースで知っていただけに残念でならない。