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会社の渡世

価格: ¥1,575
カテゴリ: 単行本
ブランド: 河出書房新社
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時折重みのある、1965年前後の日本の雰囲気を気軽に楽しめるエッセイ集 ★★★★☆
1.山口瞳氏の生活と意見(漫画讀本掲載)、2.山口瞳氏の一日社員(オール讀物掲載)の2部構成ですが、取分け12企業を訪問した後半のエッセイ集が1965年前後のその企業やその時代の雰囲気を知れる点でお薦めです。気軽に楽しく余暇を共に過ごす類の本ですが、以下の企業のお話は重みがあり、勉強になりました。

現ヤマハ株式会社の調律師大石氏の調律師になるための条件への返答:「努力です」「数多くの仕事をすることです」「一生勉強です」

現株式会社ナイガイの元副社長高坂氏の言葉:「人間には可愛がるという性質があります。可愛がられるという性質もあります。みんなが可愛がられる社員になればうまくゆくんじゃないですか」

現YKK株式会社の元社長吉田忠雄氏の信念:「善が循環する」

中年の生き方を学べる本 ★★★★☆
存命なら80を越えているから、団塊の世代の親の世代。戦前戦中戦後を生き抜いただけあり、控えめながらも芯のある中年の生き方を感じ取る事が出来る。ちょいわるオヤジなどという軟弱な者ではなく、責任なる年齢となった男がどう生きるか、というのをさりげなく考えさせてくれる。

後半の企業訪問は、専売公社などいまでは登場し得ない企業もあり、大変興味深い。
高度成長期のザワザワ、ワクワクしてるけどウラ寂しい感じ ★★★★☆
 今回はオール読物で連載された「山口瞳氏の一日社員」がまとまって読めたのが嬉しかった。単なる時代の空気を写し取るだけでなく、資本のローリングの躍動感みたいなものも誰にでもわかりやすく説明されている。

 例えば日本水産編。戦前、船舶は海軍予備兵力と見られた同社の場合、終戦で残ったのは老朽船ばかりの74隻で、トン数でいって戦前の14%だったしかも、海外漁場と在外資産を一気に失い、集中排除法の指定会社ともなった。しかし昭和27年、日水戸畑工場はフィッシュ・ソーセージの試作に成功。大量にソーセージをつくった後にあまる尾、骨、頭は肥料となる。それらがおろされた養豚、養鶏場はやがて系列化される。「鶏のメスは卵をうむ。卵の黄身からマヨネーズを生産するということになる。白身はソーセージの原料にいれる。鶏のオスはブロイラーとなる。冷凍作業はお手のものである。ブロイラーは骨抜きである。その骨をどうするか。スープをつくるのである。スープがチキン・ラーメンの味つけ原料となる。かくしてインスタント・ラーメンの大量生産という現象に到達するのである」あたりの呼吸は名人芸(pp.108-109)。

 ヤマハは戦時中にプロペラを生産したが、それによって精密工場としての技術が進歩し「木材がピアノに、金属がヤマハ発動機のオートバイにわかれていった」(p.169)など情報としても面白い。