言葉の連想ゲーム
★★★☆☆
既刊の『インド人の考えたこと』で著者は、“サーンキャ哲学は、精神原理である自己をアートマンの代わりにプルシャとし、非精神原理である原質をプラクリティとする二元論哲学である。”(p.132)と述べ、“「プルシャ」は「男」を意味し、「プラクリティ」は「女」を意味することから、サーンキャ学派の二元論は、遠い昔からあった生殖信仰が元になっているのではないかと考えられる。”(p.156)と述べている。この指摘と関係するような本書の“原因は特定の結果を生ずる力能(シャクティ)を有する。『サーンキヤ・カーリカー』が著された4世紀末〜5世紀がインド哲学界のシャクティ(力能)時代であり、宗教界のシャクティ(性力)時代は7世紀から始まる。何か影響関係があるのではないかと思う。”(p.41)という記述は興味深い。
本書は著者の解説がなければ、途中で放棄したであろうほど、無意味と思われる言葉の羅列が続く。ただ、微細身だけは遺伝子を意味しているようでもあり、唯識仏教の阿頼耶識の種子を意味しているように思えたのは予想外であった。しかし、二元論の目標でもある解脱が仏教と類似した結論に到達しているのは、文化の主流に逆らえないためなのか、と感じた。