ジョルジュ・スーラ（Georges Seurat）は、１９世紀のフランス・パリにおいて活躍した画家です。美術史のうえでは、新印象派あるいは後期印象派に属するとされます。「点描主義」と呼ばれる、小さな点を並べることにより絵画を制作する革新的な手法を考案した画家として知られています。
　スーラは比較的裕福な家に生まれたため、金策に苦労することなく、自由に絵を描き続けました。非常に秘密主義的な性格であり、その制作活動についてもあまりオープンにしなかったほか、晩年は友人たちのとの交流も断つようになります。内縁の妻との間に一子をもうけたものの、その妻子の存在を知る人はほとんどいませんでした。
　スーラは、３１歳というとても若い年齢で病に倒れ、夭折しました。その若さと、慎重な描写技法のため、彼の作品はあまり多く残されていません。
　この本では、代表的な作品である『グランド・ジャット島の日曜日の午後』をはじめとするスーラの作品をできるだけ網羅しました。加えて、作品を年齢・制作年順に配置することによって、スーラの画家としての変化を楽しめるようにしています。