重ならないように分けること、それを全体の中に布置すること。
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書名が「分類史」で、副題が「博物学」になっています。著者によれば、この二つ、知の分類と体系化は表裏一体だそうです。ここから代表的な過去の「分類法」を見ることで、歴史の中の様々な「知の体系」をも見渡そうというのが、本書の目論見のようです。このために、博物学・百科事典・図書分類法の3領域で、過去に公刊され残存している有名な書籍を、歴史の流れに沿って取り上げています。各書物から、目次や知の体系表を転載し、その目次や著者・書籍・歴史的背景の簡単な説明を付けています。
横文字を使わずに易しく書いています。その為トピックされている書籍は、日本訳があるものだけで、古代ギリシャ・ローマ、中世イスラム、中央ヨーロッパ、中国、日本に限られています。日本の翻訳界を反映しており、世界全体の知には及ばないようです。しかし本書で「知の全体」を捉えようとした過去の様々な試みを簡単に鳥瞰することが出来ます。『3次文献』を纏めた『4次文献』とでも言えるユニークな本だと思います。
著者は、読者が自分の実用という視点から知を分類することを試みることを薦めています。日々の雑学知から自分の「知の宇宙」を作る方法だそうです。また思考訓練の分類として「2分割」と「3分割」にも言及されています。これらの問題は真剣に考えると手強く、詳述されれば、本書がもっと面白くなるなと思いました。