面白さをデザインする
出版業界で20年にわたって1,000以上のベストセラーの広告に関わってきた男が、禁断のストーリーデザイン技術を丸裸にした伝説のブログをついに電子書籍化。プロに「面白い!」「売れる!」と言わせるシナリオには「法則」があります。これを手にした人は、大どんでん返しに腰を抜かす事になるでしょう。
エンターテイニングな物語には確固たる基準があります。書きたいことだけを書いていても絶対に「面白いストーリー」は生み出せません。あなたを揺さぶるナマの感情と、歴史が磨き上げた黄金の型とが結びついた時、物語は初めて個人の意識の垣根を超えて共鳴し、傑作の条件が整うと断言できます。本書ではその秘密のノウハウを公開します。
ベストセラー小説が生まれる法則
私は、ラジオCMディレクターとして、大手出版社から刊行される小説のラジオCM制作を担当してきました。この間、芥川賞、直木賞受賞作から江戸川乱歩賞受賞作に到る様々な分野の小説や、大ヒッ トしたベストセラー漫画のCMを20年間で1000本以上作りました。
この仕事は、論理構造や因果関係を完璧に把握し、徹底的に構成を分析するという特殊な「読み方」が必要な仕事なのです。その作業の中で私は「あらすじ」を素早く読み取る能力を鍛えることになりました。
そして毎日毎日、物語の構成との格闘が続き、試行錯誤しながら五年、十年と時が経った ころ、私の目に不思議なものが見えてきたのです。
それは、よく売れたストーリーに共通する構成の法則……。「面白い!」という高い品質評価を受け、愛読者というリピーターを増やし、メディアからも注目を集める物語に必ず織り込まれている定番技法の数々です。
同時に気がついたのは、日本では誰もその基礎技術について体系的に解説していないということでした。
「このスキルだけは他人には頼れないな。確実に身に付けたければ自分で勉強するしかないぞ」と思った私は、さっそく研究を開始しました。
あるどんでん返しとの衝撃的な出会い
そんな暮らしの中で、私は一冊の本と衝撃的な出会いをしました。面白い物語を書くための最大のヒントがあったのです。私はこのことに気づいたとき、衝撃で腰が抜けそうになりました。
読んでいるこちらも陶然としてしまうほどの体験でした。
そして驚くべきことにその小説では、そんな磨きぬいたエピソードの一つ一つが全て、ラストの数ページのために構築されていたのです。
ラスト数ページ。そこにあったのは「どんでん返し」でした。
恋愛も、憎しみも、義務も、正義も、悪さえも、この小説に登場してくる人物とそのエピソードは、すべてがどんでん返しのために作られていたのです。
そのことに気付いた瞬間、私の物語への見方が完全に変わりました。すべてをどんでん返しの衝撃のために構築したこの物語がこれほど美しいなんて。
エンタテインメントとはこんなに厳しい制約の下で書かれるのか。いや、むしろ、この制約こそが独特の世界を生み出しているんじゃないか。
すげええええ~っ!!!
面白い物語を作るなら「どんでん返し」をまず作れ!
この体験のおかげで、その後、数々の面白い物語の構造の解明が進み、ついに読み手を魅了して引き付ける法則を編み出してしまったのです!
その法則とは... もうおわかりですね。
「どんでん返しから作ってしまえ!」というものでした。
その後、あらゆる角度から研究に研究を重ね、平凡な物語がベストセラーに変わる秘密を解き明かし、いくつかの法則にまとめ上げました。
そして、そのエッセンスを凝縮して分かりやすく解説するものとして公開したのが本書「大どんでん返し創作法:面白い物語を作るには」なのです。
多くのベストセラー本に共通する逆転の法則とは?
では、多くの5つ星と高い評価を受けるランキング本に共通する逆転の黄金率とは一体どんなものでしょう?
本書では、エンタメ・ストーリーにおける基礎的な物語技術とともに、最も強烈な読者誘引力を持つスキルである「どんでん返し」を解説します。さらに10タイプに分類した『どんでん返しの型』からストーリーを構築していくユニークな創作法を段階的にレクチャーしていきます。
特に、次のような点を解き明かします。
読者の観点からは、次の「どんでん返し」の秘密をお教えします…
- 枠内の逆転ではなく、枠組そのものを破壊する技法「どんでん返し」とは?
- ワクワク、ドキドキするストーリーの展開の構造とは?
- 面白いストーリーを書く作家と、そうでない作家とのちがいとは?
この方法論を知るやいなや、嫌でも日常的に構造を意識しながらストーリーを読解する癖が付きます。その習慣は、映画鑑賞や読書という受け身の行為を、積極的に思考するための活動へと大きく変化させます。
特にこの創作メソッドとの邂逅は、ストーリーを娯楽として消費するだけだった人生のターニングポイントとなるでしょう。
そして作家の観点からは、あと一歩であなたの作品を激変させる答えを提供します・・・
- なぜあなたの主人公には今ひとつ魅力がないのか?
- なぜあなたのストーリーはいつまでたっても完成しないのか?
- なぜあなたの作品は読者の胸を感動で震わせられないのか?
- 読者を一瞬でストーリーに魅了して引き付け、最後まで一気に読まずにいられなくするには?
他にも、次のような点に対するお答えを提供します…
- オチと意外な結末を一緒くたにしていませんか?
- 伏線とサイドストーリーの違いはわかっていますか?
- 物語の要請ではなく自分の好みだけで登場人物を設定していませんか?
- 文章量を増やすために無理やりエピソードをふくらませていませんか?
- 主人公が次にやるべきことは見えていますか?
- 最後に、電子書籍として出版する前に押さえておくべきポイントを理解していますか?
本書が説明する「どんでん返し」のテクニックを使えば、誰でも、素早く、確実に、凡庸なストーリーを面白い物語へとレベルアップすることができます。どうぞどんどん試してください。
本書が退屈な日常を打破する大逆転ストーリーのヒントとなり、一人でも多くの方に希望と興奮をお届け出来たら幸いです。
今井昭彦