情念や情愛の深さが怒りや憎しみをより深いものにするということ、人を許すということなど、読み終わったあと、ずしんと心に響く上質の短編と思います。
最後のシーンは、絵のないほうが、(梨木香歩さんの言葉の力だけのほうが)よりいっそう、月へ向かって飛ぶ蛍の幻想さが際立ったのではないでしょうか。