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蟹塚縁起

価格: ¥1,365
カテゴリ: 単行本
ブランド: 理論社
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生まれ変わっても、なお深く残る恨みの情、切なく優しく・・・・・・ ★★★★★
驚くような前世と今の深い因縁が、冴え冴えと降り注ぐ月の光りのもとで語られます。暗く深い深い闇が、煌々と照る満月に照らされたとき、信じられない光景が。
静かに淡々と語られる不思議な物語。

月夜の晩に、沢蟹の行列がどこまでもどこまでも続いています。不思議に思ってその後ろをついて歩くうち、とうきちは生まれる前にこんな風に大勢で歩いたことがあったと思い出すのです。
深い闇。流れる小川の水色と、辺り一帯を染める不思議な輝き。月の光りは冴え冴えと野山にふりそそぎ、この世と思えぬ世界がみるものを引き込んで釘付けにします。

「あなたがその恨みを手放さぬ限り・・・・・・」昔、とうきちが旅の六部に教えられたことでした。とうきちの前世は武将でした。名は七右衛門。蟹の行列の行く先は、村の名主の家。名主の息子の残虐な行為、それは、沢蟹を釣り上げては手足をむしり取るというむごい遊びでしたが、とうきちは我慢ならずに諭したのでした。

明らかにされる前世のこと。沢蟹は、名主は、とうきちは・・・・・・。
闇と光りの見事なコントラストがあの世ともこの世の物ともつかぬ世界を映し出す。切なく、そして優しく。
梨木さんの童話小品 ★★★★☆

 えほん、なのだけれどえほん、らしくない文章で、メルヘンチックというよりは幻想的な、日本の伝統的な昔話に近いような話になっている。

 蟹塚縁起。
 実際にこういうことが起こったのかもしれない、とふと思うような、情景の伝わってくる話でした。併せて、痛々しいほどの、気持ちが。

 絵も素敵で、絵本が好きな方には、お勧めできる本です。
所有したい物語 ★★★★★
凝視することになるのは、漆黒の闇の中、月の光に照らされ、ぞよぞよと浮かびあがる沢山の蟹の物語。胸衝かれるのは、その蟹たちの、健気さ、律儀さ。澄み渡る文字で描かれているのは、情から生まれた怨みと、同じ情から生まれた許し。そして、鏡花の冴えた啖呵を偲ばせる、最後の最後の決め台詞。美しい絵。所有したい物語。
ずしんと心に響く上質の短編 ★★★★☆
名主の息子に弄ばれている蟹を助けてやったとうきちは、夜中、蟹の這う音に目を覚ます。蟹は名主の家に向かって長い長い列を作って進んでいた・・・・。蟹ととうきちと名主の間には前世からの深い因縁があった。

情念や情愛の深さが怒りや憎しみをより深いものにするということ、人を許すということなど、読み終わったあと、ずしんと心に響く上質の短編と思います。

最後のシーンは、絵のないほうが、(梨木香歩さんの言葉の力だけのほうが)よりいっそう、月へ向かって飛ぶ蛍の幻想さが際立ったのではないでしょうか。

月夜の晩に ★★★★☆
まるで、一冊の重厚な歴史小説を読み終えた後のような、ずっしりとした読後感。
一頁ごとに広がる独特の絵画の世界に引き込まれ、心地よい虚脱感すら感じさせられる、不思議な絵本です。
月のきれいな晩に、じっくりと読んで見てください。