包絡線でガッツポーズ: 通過領域の徹底理解 入試数学のsaiteiの技術
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大学入試において通過領域の問題は多くの受験生が苦手とするテーマだ.
実際、2014 年に東大では文理ほぼ共通問題で線分の通過領域を求める
問題が出題されたが壊滅的に出来が悪く、理III(日本一の難関)に
合格した受験生以外はほぼ出来ていなかったそうだ。理III以外で
一番数学ができるはずの理I受験生でさえ正解率は数%だという。
私はそれは
「どのように線分が動いていくかをイメージする方法」すなわち「包絡線(ほうらくせん)」
を教わっていないための不幸だと思う.
本書では,まず次の2点を解説する.
1.包絡線(ほうらくせん)を用いると,通過領域の問題の多くは容易に解決する.
2.大学入試レベルの通過領域では,包絡線は「2次関数の平方完成」(簡単!)により扱える.
これにより上記の東大の問題も簡単に解けることも示す.
包絡線は大学1,2年で偏微分(へんびぶん)により扱われるため,高校の数学の範囲では扱えないと誤解されている教育関係者が多いと思われるが,本書により「2次関数の平方完成」で入試レベルでは十分扱えることが納得して頂けると思う.
さらにセンター試験で扱われた「包絡線の求め方の一般論」を題材として,
なぜ偏微分により包絡線が求められるかも解説するので,この辺の理解が
不十分な大学生にも読んで頂きたい.
受験生から大学生まで役立つ,通過領域を徹底的に理解するための参考書です.
目次
§1. 包絡線の定義と応用
1.1 包絡線の定義
1.2 パラメーターについて 2 次のときの包絡線の求め方
1.3 包絡線 C を用いて直線 l の動きを見る
1.4 l の通過領域を答案に図示する順序
1.5 例題~包絡線の求め方・使い方のまとめ
§2. 演習
2.1 直線の通過領域~立教大(2010年.改)
2.2 線分の通過領域~名古屋大(2014年)
2.3 線分の通過領域~名古屋市立大 (2014 年)
2.4 線分の通過領域~東大文類(2014年)
2.5 線分の通過領域~東大理類(2014年)
§3. 2015 年東大は「包絡線だけではダメだ」と言った
3.1 通過領域の一般的な求め方
3.2 通過領域の求め方のまとめ
3.3 「包絡線をもたない放物線」の通過領域~東大文類(2015年)
3.4 「包絡線をもつが役に立たない放物線」の通過領域~東大理類(2015年)
§4. センター試験で学ぶ包絡線の求め方の一般論
4.1 2004 年センター試験数学 II・B 第 2 問 (図形と方程式・微積分)
4.2 解答
4.3 問題の背景
4.4 包絡線の求め方の一般論(偏微分を使う)
4.5 平方完成と偏微分の関係
§5. あとがき〜エウレカでガッツポーズ