「男は女で変わるのである。男の人生は女次第といってもいい。」
★★★★★
プロフェッショナルなコンテクストで,プロフェッショナルの男と女が刺激し合い,共鳴,共感し合い,信頼し合って,社会的意義のある事を成し遂げる,我々はそのために生きていると言ってもいいのではないでしょうか。本作はそういう物語です。
心に残ったフレーズを二つ。
「私は龍神商事で働く誰もが,『会社は自分自身だ』と感じ,『会社はお金ではない。やりがい・生きがいを求める場所だ』と信じられるようにしたいのです。」〜会社は,人々が社会的意義のある事業活動に参加することによって,生きる意味を見い出し,自らを成長させる,そういう場所である。これは,「会社は誰のものか」という問いに対する一つの正しい答えだと思われます。
「僕ら弁護士は,身勝手な法律解釈を広げてみせるのが仕事じゃあない。裁判所ならどういうか,それを全身全霊で探求する。立場で解釈が違っても,その基本は違わない。」〜弁護士の仕事の本質は,裁判の思考・結論の予測と裁判所の説得。全く同感です。
題名変えた方が良かった
★★★★☆
MBOしようとしたら第三者たるファンドがやってきて買収に名乗りを上げるって感じで内容は全然ありがちな話なんだけど、弁護士とのやり取り等、大ざっぱな部分、ご都合主義な部分はありつつ、一連の流れは理解出来るよ。
でもこの小説、名前変えるべきだよ。
■読んで欲しい人
・企業の経営者の人
・M&Aに携わりたいと思っている人
人物描写が…
★★☆☆☆
最後にどんでん返しのある本書だが、いまいち波に乗れない。というのも、人物描写に深みがなく、また地の文の主体が場面によってコロコロ変わるので、読んでいて辛い。
ストーリーは、著者の他の本と同じく、法的視点を存分に取り入れたMBOを軸に進む。取締役の一部が裏で良からぬことを画策したり(この描写がまた淡白で深みが全くないのだが…)、と取り立てて新しいものではない。ちょっと面白い法律文献を読んでいるような気分になるが、とにかく小説としてはいただけない。
MBO実務の好書
★★☆☆☆
東証一部上場企業の社長大日向がMBOを実施しようとして日夏に極秘裏に検討を命じる。 章のあり方に非小説的なものを感じ、途中であとがきを読むと雑誌「プレジデント」への連載をまとめたものだと分かった。MBOの実務に関係しているビジネスマンには大いに役に立つのかもしれない。しかし、前作「株主総会」と同様、小説というには無理があるのではないか。