MBOを描いた先駆的情報小説ではあるが・・・
★★★☆☆
2000年の段階でいわゆるMBO(マネジメント・バイアウト)に着目した筆者の炯眼はさすが。ただ、「究極のインサイダー取引」ともいわれるMBOに関する今日的な法律論の視点からは、マネジメント側の利益相反問題や株主への情報開示問題など多岐にわたるアプローチが不可欠であり、現在、情報小説として読むにはやや物足りない(と感じた)。(個人的には、株主主権論との関係で「株主も一種の債権者」という筆者の視点(202頁)に興味を覚えた。厳密な「一物一権主義」の立場からは、岩井克人氏の議論を俟つまでもなく、今日の「株主=会社の所有者」論は行き過ぎではないかと解されるところ、筆者のいうような債権的構成を採ると「会社とは何か」という問題についてもいろいろな検討ができそうである。)なお、小説論としては、主人公の小野里英一と成海紘次郎の人物造型について、いずれも物足りなく思われる。
誰が会社の主君なのかを考える良本
★★★★☆
オーナー(筆頭株主)から、突然社長解任をほのめかされ、
それに反逆するためMBO(マネジメントバイアウト)を企て、
外資のファンドと組んで筆頭株主の持ち株比率を下げ、
社長のまま残ることを画策する。
なかなかその辺が示唆に富んでいて、
外資と組んだものの、今度は外資のいうことを聞かなければならず、
従業員から反発を受けたり、
オーナーとよりを戻したり、
はたまた新しい思わぬ提案があるなど、
株式と企業をめぐる様々な闘争が実に意義深くおもしろい作品。
映像が浮かぶ迫力ある描写
★★★★★
私は39歳サラリーマンですが、サラリーマンとしての大勝負を、思いがけないことから実施するはめになる小説の主人公に共感できました。
会社から追いやられることを回避するために、思わぬ方向へ展開し、闘いに突入する。56歳社長のその間の変貌というか、進化の様が、まだ味わうことのない人生経験として疑似体験できる価値ある小説でした。
壮大なケーススタディといったところでしょうか
★★★★☆
大変面白い本でした。
BuyOutという理論や、日本企業的ジレンマ、海外ファンドとの確執など
こういう分野に興味を持っている人にとっては色々学べる話でしょう。
しかし全体を通して、小説というより大掛かりなケーススタディという
ような印象が拭えません。
どうしても事項の説明や背景に時間を取られてしまうので仕方ないとは
思いますが、人間描写がもうちょっと深かったら・・・と残念です。
なんか材料が古かったのかな?
★☆☆☆☆
他の方のレビューにもありましたが、盛りあがりに欠けます。
読み手が引き込まれるような、手法を望みます。
なんといっても、株主総会これからはトレンドになると思います。
そんななかで、中途半端な社長の感情を書いても、若い方には・・・・では?
50歳以上の管理職のかたなら理解できる素材かもしれないです。