減点要素にしか・・・
★★★☆☆
臓物とは全く関係ない短編集です。
「透明女」は、グロテスクな表現に重心をおいた作品ですが、ストーリーもとても面白いです。ただ、グロテスクな表現が苦手な人は避けた方が無難かと思います。
「攫われて」「造られしもの」は、ホラーのスタンダード的な作品で、良作です。
「悪魔の不在証明」は、論理を駆使した作品で、作者らしい持ち味が出ています。
この本についての大きな問題点は、やはり書名と、表紙です。若干の作品とは関係が有りますが、このような書名と表紙にする必要はないでしょう。むしろ、購入をためらう要素にしかなりません。
これから購入しようという方は、書名や表紙に挫けずに購入ください。中身は意外と普通ですから。
タイトルに…
★★★☆☆
このタイトルは読者の興味を引く為の後付けに過ぎず、
また、プロローグから受けた期待感は裏切られたと言うのが読後の感想です。
全9作品中の2作のみが書き下ろしで、他は既に発表された作品の寄せ集めでした。
その為かタイトルから連想されるような内容ではなく、
各話の繋がりや統一性もありませんでした。
ですので、別個の作品を一冊にまとめたのだと割りきって読むと
それなりに楽しめると思います。
この作家 買うの止めようかな
★☆☆☆☆
ボクがこの作家に求めているそれとは乖離し始めていて、残念に思っています。
ボクがこの作家に求めているのはグロテスクな表現ではありません。確かに『玩具修理者』のころからグロテスクな表現はありましたがそれはその時点ではメインではなかったと思うのです。最近はそのグロテスクな表現がメインになってしまっています。
求めているのは『玩具修理者』『酔歩する男』『本』『人獣細工』のような「自分の存在」について考えさせられ、なお且つそれを疑いたくなるようなそういう恐ろしさを含んだ作品なのです。
臓物?
★★★★☆
表紙・題名は非常に怪しいですが、中身は小林泰三らしい短編です。
「透明女」「ホロ」「少女、あるいは自動人形」「攫われて」「釣り人」「SRP」「十番星」「造られしもの」「悪魔の不在証明」の9つの話+「プロローグ」「エピローグ」と盛り沢山です。
どの話も読みやすく、小林さんらしいです。
「小林泰三さんの作品を読んだことがないが興味はある」と言う人にもオススメできます。
ホラーと言うよりは「SF」チックでどこか謎めいていて、最後まで読んだ人を楽しませてくれます。
「臓物とか苦手だし・・・」「なんかグロテスクそう」と思っている方、大丈夫です。ほとんど臓物は関係ないです(多少はアレですが)。
「プロローグ」を読むと主人公(読者)はある町で「臓物大展覧会」へ行きます。そこで臓物に関する物語が幕を開け・・・
と言う感じですが、短編自体は臓物がメインではないですし、普通に面白いです。
一度書店で手にとって見てはいかがでしょうか?個人的にオススメです。
内容はそこまでグロだけと言うわけでもないです。
★★★☆☆
一番、読み応えがあるのはやはり
書き下ろしの『透明女』と『悪魔の不在証明』でしょうか。
透明女での描写は相変わらず凄まじいです。
あと『SRP』の(ああいう)ノリは個人的に大好きですね。