妖怪と画家の仰天コンビが奇怪な力を駆使して難事件を解決！　妖怪モノとミステリーの本格的な融合は、あの世とこの世の狭間に未だかつてない探偵小説を生み落とした。恐ろしうてやがてびっくり、きっとあなたも癖になる……。

　ボロボロになった絵筆。絵師・春川美樹（はるかわ・よしき）は、後援者であるあやかし朧車（おぼろぐるま）が紹介してくれた九十九屋（くじゅうくや）で、最高の絵筆を手に入れる。
　だが、絵筆は盗まれた。盗んだのは、美樹が血で描いた自画像から生まれたもう一人の美樹。南米の吸血あやかしを引き連れた美樹は、自分こそが隠世で最も名高い絵師になると告げ、絵筆を持って消えてしまう。
　そんな頃届いた、現世（うつしよ）日本で失踪人扱いされていた美樹の失踪届が撤回されたという報告。美樹が絵を描く事を徹底して阻止しようとした両親の様子を窺う為に、友人の鎌鼬（かまいたち）兄妹日野（ひの）、美代（みよ）と実家へ向かうが……。

　隠世（かくりよ）を揺るがす大事件に仲間たちと共に立ち向かう第五話。