そんな危機にどうやってローマ帝国が対応したのかが本書のテーマである。見事な危機管理振りには唸ってしまう。
ここで塩野七生が追求しているのは その時点での登場人物たちの資質ではない。勿論 危機管理をやれた連中であり そもそもの個人の資質は高い。但し 塩野七生は そんな個人の資質に 危機管理の成功の原因を求めてはいない。むしろ カエサル以来のローマ帝国のスキーム自体に 成功の原因を求めている。そうして そのスキームを作ったカエサルを声を上げて賛美していると言って良い。そもそも この「ローマ人の物語」を書いている塩野七生の原点は「時空を超えたカエサルへの片思い」にあるというのが小生の 22巻まで読んできた実感である。
それにしても昔のローマ人の危機管理は素晴らしい。時代を超えて 大変勉強になる。