ゲーム理論を全く知らなければよいかも
★★★☆☆
行動ゲーム理論入門を読む予習に買ってみました。
非常にわかりやすくかかれている点はよいのですが、後半ではもう少し高度、
テクニカルな内容を期待していたので、ちょっと残念です。
基本的な利得行列の考え方や、ナッシュ均衡について知っていれば、この本を買う必要はないと思います。
また、実社会のゲームの例として触れられている内容が引っかかりました。
CO2排出権取引は全体のCO2削減量を抑制するため、良くないルールの好例では?(排出権の需要は完全に決まっているため)
また、特許権はプレイヤーによくないインセンティブを与えている側面もあります。
この本の内容からは逸脱しますので、そんなところに文句つけても仕方ないのですが。
中高生向けと思えば、決して悪くはありません。
独特の着想をもったゲーム理論の啓蒙書
★★★★☆
このゲーム理論の啓蒙書は、安田洋祐氏(政策研究大学院大学)が2009年における“個人的ベスト3”の3番目に掲げていた経済書である。本書を中心にして和書のみ眺めると、より難易度の高い解説書が練習問題付きの岡田章氏(一橋大学)の『ゲーム理論・入門』、逆に最も初歩的なのが図表を多用している清水武治氏(現代経営戦略研究所)の『もっともわかりやすいゲーム理論』といったところであろうか。当書は、これらの書物のちょうど中間に位置すると思われる。
さて、岡田氏及び清水氏の論著は、共に08年に出版されたものだが、両氏の力点の置き方は微妙に異なる。つまり、ゲーム理論を、岡田氏は“人間社会の科学”として、清水氏は“戦略思考のツール”として、それぞれ提示していると考える。では、川西諭氏の著作の特徴は、というと、「ゲーム構造の理解」「未来の予測」及び「問題の解決力」といった点を基本にして、「ルールを作る」あるいは「ルールを変える」という“メカニズムデザイン”にまで誘引していることであろうか。
ゲーム理論は、非常に応用範囲が広いのだが、当書では代表的な「囚人のジレンマ」や「コーディネーション・ゲーム」、「ダイナミック・ゲーム」等を易しく解説して、たとえば、私たちの日常目にする光景を「ホテリング・ゲーム」の構造から説明し、この理論が決して机上のものではないことを証示する。また、有名な「フォーク定理」を通じて、長期的な協調関係が問題解決に寄与することを示教し、日本的長期雇用の利点を説くなど、独特の着想をもった入門(啓蒙)書ともいえよう。
羊頭狗肉?タイトル違い?
★☆☆☆☆
ゲーム理論の各論の解釈には致命的な欠点は見当たらない。が。それだけが救いの本。この著者、出版社、さらに言うと編集者はゲーム理論を根底に置く(前提の)内容の本書において、本当にこのタイトル、章割り、章タイトルで良いと考えているなら次回作への期待など抱けという方が無理というもの。今、手元にこの本をお持ちなら、各章のタイトルとそれぞれの最後の30行〜ラストあたりとの隔たり、そして結論のベクトルのばらつき(というレベルでも語れないほどの乖離)を確認できるだろう。さらに各論を日常のビジネスシーンなどに当てはめて応用しようとする際の例にあげるテーマの選択ミスと結論づけの杜撰さが甚だしい。あたかもゲーム理論が全ての事象に応用できるかのように見せたいのだろうが、その考え方こそが間違い。こういうシーンでのこういう利害関係をゲーム理論の中のこの視点で見ると効果的である、または、この理論は、そもそもこの場面を解き明かした際に整理された考え方を(ある程度)一般理論化したもの、というような解説もなく、ただ単にある理論に、適当な最近世間で問題としてマスコミでよく取り上げれている事象や、ビジネス界での興味を引きそうなネタを適当に並べているだけに過ぎない。例えば、まずは「和食にあうフランス料理のソース」と言われて読み始め、結局、和食は素材が命、フレンチのソースは地方によって、シェフによって多種多様と言われ、しかもその各論拠が薄いままでその章が終り、次の章から「和食を生かす調理法」や「ソースのルーツを探る」が始まり、それを括って「おいしい料理の食べ方」という題名の本に何を求めるか?で、この例を読んで意味が解らないのと同様の読後感をもたらす本だと言えるだろう。
ゲーム理論からWIN-WINを考える
★★★★☆
ゲームの構造、問題の全体像を把握し、おこりうる未来を予測し、
適切な解決策を見つける。
ゲーム理論で、相手の行動を予測し、ウィンウィンを考えることは大事だなと実感。
囚人のジレンマ、コーディネーションゲーム、
チキンゲーム、マッチングペニー、
ホテリングゲーム、ダイナミックゲームなどの主要ゲーム理論が学べます。
バックワードインダクションで、おかしいナッシュ均衡を見破る、
その他、繰り返しゲームやトリガー戦略、エスカレーションオークションなど、非常に思考が深まりました。
わかりやすい良書です。
★★★★★
ゲーム理論のことをまったく知らなくても、
本書を読めば、基礎が理解できる内容になっています。
「囚人のジレンマ」などの基礎的な例を挙げながら、
詳しく解説を加えています。
また、その他の例に関しても、
非常に日常に即した内容になっており、
誰でも簡単に理解できるよう、著者の工夫が見られます。
実際のビジネスシーンは登場しないものの、
この本で得たことを役立てていけることは間違いないと思います。