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99%の誘拐 (講談社文庫)

価格: ¥730
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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スリルに魅せられる ★★★★☆
コンピュータを駆使した完全犯罪。
実現可能かどうかを問うのはナンセンスでしょう。

物語がどんどん加速していく。この疾走感は流石ですね。
いわゆる犯罪小説とは異なり、完全犯罪の実行というスリルだけに焦点を当てている。
たとえば、当事者の心理描写などは、あまり描かれていない。

そのおかげで、スリルに魅せられながら、ぐんぐん読める。
ただ、読み終わった後に残るものがない。
ああ、面白かったで終わってしまう。

しかし、エンターテイメントとしては素晴らしい作品。
感動よりもエンターテイメントを期待して読みましょう。
プロットが不磨すぎてシステムが異常をきたす ★★★★☆
本作を読んで端的に感じてしまう完璧だ。だが同時に完璧すぎてつまらないとも。。

本作に限らず事実そこが岡嶋二人の美意識とも言えるのだが,この一作はより苛烈だ。というのも,作中の誘拐劇を成立させる為にあまりにも
システマティックにプロットを組み上げているので,逆に制御されてしかるべき前提(システム)にひずみをきたしてしまう。
言ってることが判りにくいだろうからいきなり結論になるとミステリ愛読者にはきついものがあるってこと。いかにもミステリ好きの興味を
そそるタイトルだけに手を伸ばしてしまう方も多いだろうが,読後どうだろうか?ミステリがもつ独自の愛嬌,偏執的で偏愛的な余韻を
感じとれる人はあまりいないのではないかと想像する。
この一作では,そんな愉しむべく余裕をこそげ落としてあくまでストイックに構成されている。ただ矛盾するようだがミステリとして駄目な
わけでは全然なくて,謎解きのキー・ワードだってしっかり用意されています。

しかし,どちらかというとノンストップでドキドキできる誘拐ものを読みたいなって方向きでしょう。その点に関しては岡嶋二人は凄い。
誘拐を芸術にまで昇華させている圧倒的な想像力の鬼火が迫ってきますよ。
岡嶋二人の最高傑作 ★★★★☆

昭和43年、半導体メーカー社長の息子である生駒慎吾が誘拐された。

のちに慎吾は無事解放されたが、その時の身代金として会社の虎の子の
資金を使ったために、慎吾の父の会社は大手メーカーに吸収されてしまう。

20年後、ある事件をきっかけに亡き父が遺した手記を読んだ慎吾は、過去
の誘拐事件の際に、父を嵌めた人物がいたことを見抜く。そして、慎吾は、
父の会社を吸収したメーカー社長の孫を誘拐する計画を始動させる……。



本作は、志を果たすことができず、無念の死を遂げた父のために仇討ちをする息子の
物語なのですが、そこから連想されるようなべたつく情念とか重苦しい愛憎を慎吾が
吐露することはありません。


思うに慎吾は、自分より遥かに強大な相手に対し、単に危害を加えて復讐すれば
満足なのではなく、あくまでフェアに、そして誰にも頼ることなく独力で自らの計画
を成し遂げたかったのではないでしょうか。

そうした行為が大手会社に屈せざるを得なかった父の
無念を晴らすことになると信じていたのだと思います。


結末で慎吾は、かつて自分を誘拐した犯人と対峙し、互いの罪を告発し合う
のですが、その後で二人の間に流れる空気がえも云われぬ余韻を残します。



さて、最後にミステリ的勘所について一言。

本作最大のキモは、身代金であるダイヤ奪取のハウダニットなのですが、
そのための伏線は、第三章の冒頭、慎吾の職場を描写している場面で、
さりげなく提示されています。お見逃しなきよう。




「一九八八年最高の誘拐小説」 ★★★★☆

昭和43年、半導体メーカー社長の息子である生駒慎吾が誘拐された。

のちに慎吾は無事解放されたが、その時の身代金として会社の虎の子の
資金を使ったために、慎吾の父の会社は大手メーカーに吸収されてしまう。

20年後、ある事件をきっかけに亡き父が遺した手記を読んだ慎吾は、過去
の誘拐事件の際に、父を嵌めた人物がいたことを見抜く。そして、慎吾は、
父の会社を吸収したメーカー社長の孫を誘拐する計画を始動させる……。



本作は、志を果たすことができず、無念の死を遂げた父のために仇討ちをする息子の
物語なのですが、そこから連想されるようなべたつく情念とか重苦しい愛憎を慎吾が
吐露することはありません。


思うに慎吾は、自分より遥かに強大な相手に対し、単に危害を加えて復讐すれば
満足なのではなく、あくまでフェアに、そして誰にも頼ることなく独力で自らの計画
を成し遂げたかったのではないでしょうか。

そうした行為が大手会社に屈せざるを得なかった父の
無念を晴らすことになると信じていたのだと思います。


結末で慎吾は、かつて自分を誘拐した犯人と対峙し、互いの罪を告発し合う
のですが、その後で二人の間に流れる空気がえも云われぬ余韻を残します。



さて、最後にミステリ的勘所について一言。

本作最大のキモは、身代金であるダイヤ奪取のハウダニットなのですが、
そのための伏線は、第三章の冒頭、慎吾の職場を描写している場面で、
さりげなく提示されています。お見逃しなきよう。




引き込まれる ★★★★☆
 12年のときを隔てた2つの誘拐事件。その犯人と被害者を巧みに配置して物語を構成している。洗練された作品です。

 誘拐事件は、犯人にとって、身代金の受け渡しの際に姿をあらわさざるを得ないという難関がある。本書では、犯人の精緻な計画と、刻々と移っていく状況に応じた警察と犯人の駆け引きがスリリングに展開し、引き込まれます。

 コンピュータ環境が、この作品が書かれた当時とは相当に変わっていますが、その点はあまり気になりません。また、「こんなに精緻な計画が成り立つかなあ?」という感じは多少しますが、作者の上手な話の展開によって、不自然さを感じさせません。

 岡嶋二人さんらしい、「ほんとうに上手だなあ」と感じさせる作品であり、400ページを一気に読ませる魅力的なミステリーです。