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日本の歴史 (8) 蒙古襲来 (中公文庫)

価格: ¥1,300
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論新社
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“ガバナンス(統治)原理”から観た中世日本の変動 ★★★★★
 本書は、戦後の日本中世史研究を『権門体制論』の立場から牽引してきた黒田俊雄氏により一般向けに書き下ろされた通史の一巻である。記述されている時期は所謂“元寇”の時代としての12世紀後半から末期、鎌倉幕府の終焉にあたる時期であり、幕末の“黒船来航”と並び、日本の中世社会が構造的に大きく変動し始めた時期である。
 『権門体制』とは解りやすくいえば、中世日本の王権が“武家”“公家”“寺家”の三者、殊に武家と公家(この中には当然のことながら“天皇家”も含まれる)が相互に補完する“寄せ木細工”的な国家形態である、とする見解である。
 『律令』の規定からはみ出す形で誕生した武家(=幕府)は現実としての統治能力を持ち出し始めていたが自らの依って立つべき“法的根拠”を未だ持ち合わせてはいなかった。他方の公家(=朝廷)はその法的根拠に基づく地位を持ちながらも現実としての統治能力など全く持ち合わせていなかった。
 “現代的な国家像”でこうした複数権力が存在した時代の国家像を観ようとすることには意味はない。なぜならその前提そのものを適用することに無理がある。そこには幾重にも重なる支配の原理が存在するからである。
 著者の叙述スタイルは読者により好悪に相当の違いがあることは確かである。けれどそこに1つの評価をするなら、過去の事実を観る時に“現代にあるモノを観る価値尺度”を絶対的な基準としてむやみに適用することへの戒める姿勢、を挙げることができよう。
 世間に流布している現在の歴史本(殊にビジネス書にはその傾向が顕著である)の一部にはこうした過誤を犯していることなど自覚していないことに比べて、歴史を眺めるスタンスを知るには良い材料であることに間違いはない。
主観的な見方 ★★☆☆☆
このシリーズを一巻から愛読しています。
この巻は、今までの中の巻よりも主観的な要素が多いような感じを受けます。
筆者について、詳しいことは分かりませんが
個人的には主観的な文章よりも、歴史の研究において解明されてきた部分をもっと掘り下げて詳述した文が好みです。
ちょっと前のめりか ★★★☆☆
 作者は、独特の個性の持ち主のようで、当時の学会においても、独自の問題提起を活発に行っていたようである。
 それはそれで構わないのだが、やや本書の中で、結論に急いでしまう面があり、もう少し客観的に掘り下げるところが多くても良かったような気が少しする。それでもかなり専門的に高度なところまで研究されているのだが、押しの一手で主観的な感情が急いてしまって出てきているような、少し前のめり的な論議が見受けられなくもない。

 巻末の解説を見ていると、著者の個性的なエピソードなどが語られ、次第にそれが見えてきた。