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雛の家 (中公文庫)

価格: ¥880
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論新社
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夢がなくなる時代に、夢を追い続けた三姉妹の物語 ★★★★★
 第二次世界大戦に向かう「夢がなくなろうとしていた」時代の中で、大店を背負う立場を自覚しつつ、そこから逃避して自分のアイデンティティとして恋愛にすがりつく母親と祖母を含めた老舗人形屋三世代の女性たち。
 当時の日本女性としては非常に強い存在だと思う。恋愛に立ち向かう姿勢といい、老舗を思う矜持といい、彼女たちの存在は輝いて見える。それぞれあまり恵まれない恋愛の様子と、三者三様の決意というのは、すごく力強くて清々しくさえある。
 この作品では恋愛対象の男性たちでさえ、象徴として一種の記号と化している。主役やあくまで女性たちである。普段は仲良く、時に意地悪な姉妹ならでは力関係や、日常の生活が男性作家らしからぬ細やかな観察で描かれている。もっと作品を読みたかった作家だ。
久世さんだから ★★★★☆
久世さんだから、このような作品を書けるのだろうが、私としては
久世さんの色気の通奏低音が流れた奔放な想像力、滑らかな平仮名と
優美な漢字を活かすのは、やはり「日記的文学」「エッセイ風小説」だと思う。
即ち、「乱歩」「日録」「黄昏かげろう座」などだ。

しかし、こういう日本語は、久世さんぐらいしか書いてくれない。

「へのへの夢二」や「女神」が好きな人は、それ以上に好きかもしれません。
人形屋の三人姉妹が色っぽいです。

私としては、また「乱歩」「日録」系が出ることを期待している。