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飲食男女(おんじきなんにょ)―おいしい女たち (文春文庫)
価格: ¥570
カテゴリ:
文庫
ブランド:
文藝春秋
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上品な文章に酔う。
★★★★☆
文章にしたたるような色気があり、ぎりぎりにきわどいのになぜか品のある、久世光彦ワールド。
ジャム、とろろ芋、無花果・・
たべものの淫靡な誘惑が、男女のほのかなつながりのなかに上手にとりこまれて、はんなり上品に香り立つ。
内容を読まずとも、織りなされる文章の美しさに酔うだけでも十分に、手に取るに値する名作。
生ぬるい食べ物
★★★★☆
人は生きる為に食べるのか、食べるために生きるのか。性欲か食欲かを選ぶのは究極の二者択一であるのは、両者は切っても切れない納豆の糸でつながれたみたいな仲だからだろう。
食べ物を題材にした小説は多々あるが、この本の中のとろろ芋アレルギーを楽しむムズ痒いマゾ女がとろろ好きとしては新鮮だった。実験の協力者がいても試してみるのは痒そうなので想像の領域にとどめておく方がいいと思う。
腐りかけた桃やイチゴジャムの女性の体に直結するビジュアルを持つ食品、それから湯豆腐やのびたそば、おかゆなど生ぬるくて柔らかいものは女体のようにつかみどころがなくてあぶなっかしいのがエロイ。
男の究極の妄想のような物語でありながらも、プレイボーイであっただろう作者の現実の体験と重なるようなリアリティが細部の描写に見られるのが秀逸。
男の見た景色
★★★★☆
副題が示す「おいしい女たち」とは、まさに筆者が現在の筆者になるための血となり、肉となった「食物」ではないか。読後はそんな印象が強く残った。
いや、決して暑い午後に西瓜を貪り食う風景を、直接的に描いているわけではない。しかし、食い散らかされた西瓜に集まる無数の蟻を見せられたほうが、よほどその情景を色濃く感じさせる。
そしてまた、男が描くのはいつも「情」ではなく「景」なのだと、改めて性差を思った。
男の見た景色
★★★★☆
副題が示す「おいしい女たち」とは、まさに筆者が現在の筆者になるための血となり、肉となった「食物」ではないか。読後はそんな印象が強く残った。
いや、決して暑い午後に西瓜を貪り食う風景を、直接的に描いているわけではない。しかし、食い散らかされた西瓜に集まる無数の蟻を見せられたほうが、よほどその情景を色濃く感じさせる。
そしてまた、男が描くのはいつも「情」ではなく「景」なのだと、改めて性差を思った。
男の見た景色
★★★★☆
副題が示す「おいしい女たち」とは、まさに筆者が現在の筆者になるための血となり、肉となった「食物」ではないか。読後はそんな印象が強く残った。
いや、決して暑い午後に西瓜を貪り食う風景を、直接的に描いているわけではない。しかし、食い散らかされた西瓜に集まる無数の蟻を見せられたほうが、よほどその情景を色濃く感じさせる。
そしてまた、男が描くのはいつも「情」ではなく「景」なのだと、改めて性差を思った。