わたしは購入したことを心底後悔した。
他のレビューもやはり酷評が多いようだが、それも仕方ないだろう。
ただ、作者の栗本薫だけが楽しい1冊なのじゃないだろうか。
これで金を取ろうと言うのだからへそで茶を沸かす。
でも、これはちょっと……。
ヤオイではないけれど、マルガサーガなどと同様、同人誌として天狼叢書から出せばこんなに酷評も出なかったでしょう。
とはいえ、買っちゃうし、読んじゃうところが、ファンの弱みでしょうか。
#喜び勇んで買ったのに、まだ4分の3くらいしか
#読み終えていないことを告白します。(^^;;;;;
まぁ、いわれる理由は、よくわかるけど。確かに、メタフィクションとしてナリスで推理小説をやる必然性は皆無だもんね。たとえどんなに失望しようとも、僕のような10年以上前から読み続けているグインファンは、まず買うし(笑)。自己満足といわれても、仕方があるまい。だって、お金の無駄になるもん。
とはいえ、これだけ酷評されるというのも、グインサーガが、栗本薫という一人の作者を超えて共同幻想を成立させているからなんだろう。作者が存命中に、これほど作者の手を離れて「読者のもの」になった作品も珍しかろう。
ある意味、作者の栗本さんも、一人のナリスの熱狂的なファンとしての距離で、この作品を書いており、それは同人誌的、パロディ的、そしてなによりも作者の権限として許されるものかも知れないけれども、小説の世界を構築する「神の視点」を持つ設計者の視点を失っているとも云える。逆説的にいうと、物語は「そうした熱狂的なファン心理」を「積み重ねて乗り越えた」ところに、構築されるのであるから、本来プロならばこれを秀作にして販売しないという決断もあっただろう。その辺は、まぁ、作者の自由じゃん、とは思うけど。
僕としては、こういう読者の批判も含めて、グインシリーズという一大イベントに同時期に関わるのは、おもれーなーとおもっているので、これからも販売されるものは、必ず買うけどねぇ。早川書房では、これ一つで事業部があるとかないとか・・・。
僕は、もともとグインの世界観にどっぷりの人間なので、本筋の設計者としての質さえ下がらなければ、どんなものOK。これも楽しかった。ただし、ナリスの成人式を描いた外伝のレベルの高さには比せないけどねぇ。