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いのちのハードル―「1リットルの涙」母の手記 (幻冬舎文庫)

価格: ¥560
カテゴリ: 文庫
ブランド: 幻冬舎
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怒りと絶望に打ちひしがれる母親のもどかしさと苦しみ ★★★★☆
著者は1936年生まれ(出生地・出身校などの基本属性は不明)。保険師。62年,亜也を出産する(26歳)。この著者の娘=亜也が闘病記を書き,著者との共同作業で『1リットルの涙』を刊行させた(「2006年現在、発行部数は210万部を突破」(Wiki))。本書は89年に単行本として刊行(エフエー出版)されたものを文庫化したもの。手許の文庫本は21刷り(1年あたり7刷のペース)。フジテレビ系列で放映されたドラマを見てこの本まで辿り着いた。拙評を見る方なら,この亜矢が「脊髄小脳変性症」で亡くなった人物であることをご存知だろう。本書は娘を介護する母親の手記である。


「数日して,夜,担任の先生が訪ねてこられた。・・・(中略)・・・ 聞いているうちに怒りが込み上げてきた。/亜也が学校にいること自体,迷惑だというふうに受けとめられるような説明だった。・・・(中略)・・・ だんだん社会の片すみに追いやられ,東高にいることができなくなったという傷ついた気持ちで転校するのではなく,無理だと知りながらも断ち切れない学校や友達への未練,後ろ髪をひかれる思いを乗り越えようとしている亜也から,輝く光を見つけ出し,『亜也ならやれるぞ!』と励まし,力づけてほしかった。/信頼する先生からその一言があったなら,亜也の流した“1リットルの涙”は,別れのつらさと感謝の涙であったろうに。そして楽しい思い出だけを大切にしていけたのにと思った」(57頁)。


「『どうしました?』/『早くなんとかしてやって下さい』/『本人は痛くて胸が締めつけられるので苦しいんです』/立ってみているだけの医師に,/『先生は亜也を初めて見るんですか?』/『今日は当直できたものですから・・・。この子の病名は何ですか?』/苦しみ,もがいている患者の前でいう言葉だろうか? 病名を聞いてじっくり考える事態ではないだろうに・・・。看護婦がカルテをめくりながら,硬直時に使用した薬品名を告げている。/『同じ薬を注射してください』と医師は看護婦に指示を出す。/十数分たって,やっと処置がなされた。/私は,心臓の高鳴りを深呼吸して整え,ヘナヘナと座り込んだ」(89-90頁)。


「『お母さん,仕事をやめることはできないんですか?』/この一言で,T医師と話し合いをする気力がなくなり,同時に猛烈な怒りが込み上げてきた。/医学と療養,医療の立場に立てない医師だと思った。/何のために家族構成やら患者の持つ背景をこと細かに入院当初に聞くのか。家族が付き添えないのはそれぞれ理由があるからではないのか。それも説明済みのことだった」(95頁)。


「切れることのない雲の動きをぼんやりながめていた亜也が,そっと文字盤に目を移した。/『私の使命がまだ残っている』/病気のことを話した後だっただけに,何を言い出すかと私の心臓は高鳴った。『私を灰にする前に,病気の原因を見つけてほしい!』/『亜也・・・』といったっきり胸がつまって絶句した」(150-1頁)。


怒りと絶望に打ちひしがれる母親のもどかしさと苦しみがよく伝わってくる。ドラマでは3人兄弟姉妹だったが,木藤家は5人兄弟の7人家族である。妹の亜湖は姉貴に悪態をつく登場人物として登場しているが(役者は成海璃子),母親として亜湖が姉思いであること,たとえば被服費支出を徹底拒絶していたり,姉貴のために母親とともに献身的に介護したりと,とても甲斐甲斐しい(もっとも,ドラマの中でも“亜湖”は姉想いの台詞も吐いている)。


本書書評にはどうでもいいことだが,演歌歌手の山川豊(ガス溶接技能者・ボクシングC級トレーナー)が20歳代後半のとき,木藤亜也を見舞っている。このころの山川は,第17回日本歌謡大賞放送音楽賞を受賞して,紅白歌合戦に初出場し(87年),翌年,第8回古賀政男記念音楽大賞,第20回日本有線大賞協会選奨,第18回日本歌謡大賞放送音楽賞(以上88年)と賞を総なめにしていた頃である。考えさせられる逸話ではある。

(1651字)
感動だけでは済まない現実 ★★★☆☆
亜也ちゃんが日記を書けなくなった後、「1リットルの涙」で書かれていた亜也ちゃんの
闘病生活のその後が、書かれています。
その後、転院を繰り返さざるを得なかった事情や、心ない医療関係者の対応など、心の冷
えるような厳しい現実も書かれています。日本の医療の明と暗がうかがえる内容でもあり
ます。

「1リットルの涙」に掲載されなかった亜也ちゃんの文章も多数掲載されています。
感動だけでは済まない現実を見せ付けられてしまう本ですが、ぜひ読んでみてください。


強さ ★★★★★
ドラマを見て、本を読んでみたいと思ったが、本を買うまでに悩んだ。とてもとても重いテーマだ。悲しくてつらい内容だと知っていて、ドラマよりももっと詳しく知るのに、心の準備が要った。
病気のため、体の運動機能が動かなくなり、筋肉も弱まり死に至る。しかし、脳は健全であり、それがあまりにも残酷である。人は、病気になると、気力も精神力も弱まり、何もかも投げ出したくなると思う。それを、亜矢は真っ向から立ち向かい、闘い続けた。強い強い人間だと思った。
そして、亜矢を支え続けた母親を始め、家族は素晴らしいと思う。母も、強い人だと感じた。多くの人をこの「1リットルの涙」で励ますことが出来たのは、亜矢、家族の心の強さだと思う。そして、病院のスタッフや、家政婦さん。彼らにも素晴らしい人と、思いやりのない人、同じ人間でも、こんなにも差があるものだと思った。
ここまで強くなれるか ★★★★★
亜也さんが自分で日記を書けなくなってからのことなども含めて,お母さんの手記という形でまとめられています.亜也さんご自身が非常に前向きに生きてこられたのはこのお母さんの支えがあったことが大きいのだろうと思います.

家族に大きな病の人を持ったときには,身の回りの世話をする以上に,お医者さんや家政婦さんとの関係,経済的な問題(経済的な問題については,本書では触れられていませんが)など本人がどうすることもできない問題に対して家族が対処していかなければなりません.自分がこの立場になったとき,ここまで強く生きられるかということを改めて問い直さざるをえません.

「1リットルの涙」はご本人の感情が中心としてまとめられていますが,本書は彼女がどのような環境の下で病気と闘ってこられたかということがわかり,改めて涙してしまいました.2冊あわせてお読みになることをお勧めします.
父親になった今 ★★★★★
自分の子供が、もし病気にかかった時には、一体どれだけ自分は強くいられるのだろうと思います。母は強しと言いますが、このお母さんはとても強い方だと思います。この強いという意味は、決して泣かないとか、しんどくならないとかではありません。お母さんは、自分がやらなければいけないことをみつけて、常にそれに向かいどんな精神状態でも前に前に進む力強さ。いろいろ、勉強させて頂きました。1読の価値がある本だと思います。