木藤亜矢(大西麻恵)は中学3年のとき、脊髄小脳変性症という全身が次第にマヒしていくという治療法のない難病に侵されながらも高校に入学。しかし日に日に病状は悪化し、やがて養護学校へ転入することになる…。病魔に侵され、25歳でこの世を去った木藤亜矢が21歳まで書き綴った日記をもとに描かれるヒューマン映画。
岡村力監督のいわゆるお涙ちょうだい的作劇を避け、淡々としたリアリズムで気負いなくなされている演出が逆に功を奏し、哀しい話でありながら鑑賞後は心洗われる感動の佳作たりえている。身障者差別にも目を向けられており、ふと我が身を顧みてしまう瞬間もあり。主演の大西麻恵の飾らない好演も印象的。母親役のかとうかずこは彼女の代表作ともいえるものになった。また駄菓子屋のおばさん役で登場する松金よね子が、前半部の画面をさらうほどに素晴らしい存在感を示している。後にTVドラマ化もなされている。(増當竜也)
this is the real
★★★★★
すばらしい以外の言葉が見つからない。
障害を持つ人々の周りに存在する悪意も善意もすべて描いている。
大西麻恵演じる亜也はリアリズムの塊である。
彼女と比べると沢尻氏は木藤亜也の魂を体現する器としては小さかったと思わざるを得ない。
医学は奇跡やファンタジーとは無縁の世界である。
雨の日に死んだ妻は帰ってこないし、恋をすると死ぬ病気もない。
従来の難病をテーマとした映画とは一線を画している。
観終わった後には優しさに包まれているような
また絶望の底にいるような不思議な感情が渦巻く作品である。
やっと見られました。
★★★☆☆
以前からずと見たかった映画をやっと見ることが出来ました。内容的には期待以下でも以上でもないのですが、題材が題材だけに、家内号泣、大絶賛!不肖私も不覚にも泣かされました。ただ、演出としては至って正攻法で教科書的。可もなく不可もなく無難にこなしたって印象です。監督は、昭和40年東京生まれで大阪芸大出身。色んなCMやTVドラマも撮ったということらしいですが、見た後、少々物足りない感じがしました。テーマ的にオャラケは無理だろうけど、個人的にはもう少し笑いのエッセンスが欲しかったかなぁ。次回作はいつ撮られるのでしょうかね?別の感じも見てみたいです。
死に至る病の残酷さを演出して映像化し,観衆に刻み込むことに失敗している
★★☆☆☆
監督の基本属性(出生年地や最終学歴など)は一切不明。オンライン書店で検索すると,04年に,『virtual trip THE BEACH Phuket & PhiPhi』とかいう作品を出しているみたい。2005年公開。出演者は,大西麻恵(83年生まれ,書道8段で中学教員免許保持,撮影当時21歳,木藤亜也役),かとうかずこ(58年生まれ,46歳,母親役),鳥居かほり(65年生まれ,39歳,主治医役),芦川よしみ(58年生まれ,46歳,寮母役,あれ,かとうかず子と同い年だ!),松金よね子など。挿入歌として加藤郁子『空へ』があり,音楽担当はRIKUとのことだが,この両名についてはほぼまったく情報なし。文部科学省選定映画。文科省さまがお選びになるだけあって,「地方の公民館等を中心に 1年間に亘りロングラン公開された」(Wiki)。
Wikiによれば,沢尻エリカ主演版の「ドラマ版[フジテレビ系列,06年]に比べると、こちらはあくまで原作の重要場面をピックアップしたリアルな作品になっている」とのことだが,映画製作弩素人の私に言わせれば,テレビドラマとの格差は編集と演出にある。演技という点だけで言えば,かとうかず子や芦川よしみに何ら問題はない。大西の演技は障害者の現実味という点では沢尻を超えるし,インターンの若い男性医師に淡い恋心を抱くシーンなどもしっかり演技できていると思う。しかし,映画では,例えば,公立高校で仲の良かった友達や養護学校で同室になる友達の個性描写を欠いている。そもそも,編集が標準過ぎてドキュメンタリータッチを意識しすぎているし,“音が絵を喰う”ような場面もない。結局,挿入歌の『空へ』も『グライダー』も,印象には残っていない。要するに,死に至る病の残酷さを演出して映像化し,観衆に刻み込むことに失敗している。映画なんかでは,たとえドキュメンタリーでも,決して本物にも真実にもなれない。なれると思ってでもいるのだろうか? 制作者たちはなぜここで遠慮しているのだろう? 大西らの演技を潰しているとしか思えない。感動を生産する商業ベースでは,フジテレビに敗北している。勿体ない。
唐突だが,大西麻恵は大西結花(スケ番刑事)と似ていないだろうか? ケースを見ると,いつもそう思う。アサブー,頑張れよ。応援しているぞ。
(871字)
勇気を貰いました
★★★★☆
不治の病になっても、前向きに生きる主人公に感動。生きる意味ってなんだろうね。人に役に立つためなのかな。俺は、そうではないと思った。なんの役に立たなくても、生きているだけでいいのでは。生きているだけで、奇跡とよくいうが、改めてそれを感じた。主演の女優さんの縁起もすばらしい。勇気をもらえた!!
強く生きなければ、と思える映画。
★★★★★
原因不明の小脳の萎縮という病気を、高校受験を間際に
控えた時期に発症してしまった、ある女子生徒の実話を
映画化したもの。
この主人公は、病気の現実を知ったあとも、回復見込みがないという
厳しい現実をしっかりと受け止め、くよくよせず、前向きに強く生きていく。
その強い姿、そして実の娘を最大の愛情で受け止め、支えていく母親の
姿に感動の涙を流さずにはいられなかった。
この映画を、人生録としてだけ受け止めるのは、もったいない。
自分自身もおかれた環境、境遇で明るく、強く、前向きに生きて生きたい、
そしてなんにでも感謝する心を得たい、そんな気持ちまで起こさせてくれる
作品だった。