アレスを反乱軍に引き入れる事に失敗したジェレイドは、アレスの暗殺を命じる。そして、輝かしすぎるアレスの戦功に危惧を抱いた味方からも暗殺者が放たれた。そして、当のアレスは、過去に因縁のある新将軍によってまたもやアレスは戦地から遠ざけられてしまう...

まさに人間離れした武芸だけがとりえの無骨者、といった感じのアレスですが、久しぶりに領地に戻るに当って少々緊張したり女性にどぎまぎしたりとちょっとかわいい一面も見せてくれます。そして、最後に！！！の部分は御自分で読んで確かめてください、なのですが、どうも今回は次の巻の準備といったところのようです。次が楽しみです。

面白かった！
巻を重ねる度に面白くなって楽しめるシリーズとなってきました。最近じゃなかなかこういうのはなくてうれしい限り。

この巻は主人公アレスが故郷で起こった大きな事件に対して一つの区切りをつけると同時に、敵味方が仕掛けた数々の危機を乗り越えていくというお話です。

これでもかというほどに容赦のない危険な状況を次々回避していく様は読んでいて爽快です。後半のもっとも最悪な状況をパンドラの助言にすらほとんど頼らず回避する様は思わず笑ってしまうほど。

そしてこの巻では具体的な部分までは明らかになりませんでしたが、ラストではいよいよ未来へ向けて動き始めるある人物の姿が。次の巻も楽しみです。

前の巻が、アレスにどえらい困難が降りかかるような感じの終わり方だったのですが、蓋を開けてみたらパンドラの助言で難なく危機を回避していくので、少々拍子抜けでした。また、純粋にアレスの命が狙われるので、アレスにとって「都合は良いが最良ではない」助言をするというパンドラの味があまり出ていないのが残念でした。アレスにとって都合が良い「だけ」の助言を連発されると白けてくるので、あまり多用はしてほしくないです。

今回、アレス視点の描写は色々と読んでて痛々しく、特に最後の戦いは白けさえしました。このあたりは好みかもしれませんが、個人的に最後の戦いは完全に許容範囲外でした。一方、王国軍の新将軍就任を巡って貴族世界の勢力図の一端が垣間見れたり、解放軍側の描写は相変わらず貧乏臭くて腹黒かったりと、アレスの近辺以外は読みごたえがあって面白いです。